「コツコツ、ナイナイ、ヨシヨシ・・・」決算!忠臣蔵 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
コツコツ、ナイナイ、ヨシヨシ・・・
1992年、BS放送が始まってまもなくの頃でした。吉本オールスター大行進 爆笑!大忠臣蔵が放映されていたのをぼんやり観ていた。忠臣蔵に興味を持ったのはこの放送を観てからなので、未だに泣き笑いを存分に楽しむのが忠臣蔵の真髄だと思っています。大石内蔵助が桂三枝、堀部親子がオール阪神・巨人だったこと以外は、ほとんどキャスティングを忘れています。VHSビデオがあるみたいですが、オークション価格で19800円とか・・・高いです。
そんなお金にまつわるエトセトラ的な、赤穂藩の財政を中心とした風変わりな忠臣蔵が本作品です。かつての忠臣蔵は有名俳優、歌舞伎役者を使って、オールスターと銘打つという作品(映画、年末ドラマなど)がほとんでしたが、90年代に入ってからは従来とは異なる手法で描かれるものが増えてきました。
例えば、『四十七人の刺客』(1994)では大幅なカットと時系列入れ替え、『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(1994)では参加できなかった浪士と四谷怪談の融合、『最後の忠臣蔵』(2010)では死ななかった47人目の浪士・寺坂吉右衛門にスポットを当てた作品となっているのです。もう大河ドラマ的な赤穂事件では売れないとわかってるんですね。
今後はどんな忠臣蔵が観られるのでしょうか?サラリーマンとか犬の物語はすでにあるので、『四十七人宇宙の旅』とか『時空を超えた大石内蔵助』とか『戦隊47レンジャー』と、思いっきりジャンルを飛び越えるのかもしれません。
さて、この映画は予算を中心にいかに難局を乗り越えることができるのかという一点のみ。そば一杯が現在480円、江戸時代が一六文だったことから現代の金額に直してくれるという親切設定もうれしいところ。刀がいくら、鎖帷子がいくらだとかわかりやすくて良かったです。赤穂から江戸まで36万円かかるというのも大変な額。現代のタクシーの方がお得です。600キロなのでざっと計算しても18万円+高速代。4人で乗ったとしたら一人あたり5万円くらいで行けます。またJRならば15000円ほど。36万がいかに高いかわかります。だから、戻ってきた荒川良々に大爆笑できました!てか、なんで安兵衛がヨシヨシなんだか・・・
個人的に受けたのがタイトル通り、西川きよしが「コツコツ」を連発した直後に、岡村が登場して「ナイナイ」を連発。さすがにナイナイで笑ってた観客は1人だけでした・・・すみません。ダブル主演などとも言われてますが、それほど目立ってはいなかった矢頭長介。歴代忠臣蔵でも若手美青年俳優が演じるため、息子である右衛門七(えもしち)の方が人気ありますよね。
役方と番方という言葉、リストラ、イメージトレーニングなど、斬新なところは多いし、衣装が火消しの衣装だったなんて今まで気づかなかった(多分俺だけ?)。財政面に関しては、森村誠一著の「忠臣蔵」に詳しく載っていたため違和感は感じませんでしたが、逆に“藩札”については一切触れられていなかったのが残念。