「タイトルなし(ネタバレ)」天気の子 otoufu19さんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
いやなんで?の連続です。
耐えて観ようといつもしていますが耐え難い。
ヒロインの描き方も、主人公の男子の気持ちの動き方も、この作品に限らず、飛び飛びだし、これを作る大人というのも倫理というかの点で個人的な感覚としても相当無理です。
映像感覚に優れた監督が、よい脚本を書けるとは限らないので、さっくりと分業してほしいです。
新海氏はショートフィルムがネットで話題になった頃から知っていました。美しいクオリティの高い映像がその時は印象的でした。
が、長編映画とはイメージ映像とは違うのです。
宮崎駿が脚本も監督もするからといって、誰もがそれを真似ないといけないわけはないのです。
得意分野を持ち寄って、それなりの人数で作り上げるのが映画なのではないですか。個人映画はあるけれど、おおよその劇場映画とそれとは別物でしょう。良し悪しではなく。
美少女ゲーム(ギャルゲー)と呼ばれていたジャンルがありますが、基本的な部分でそれ「しか」フィクションの素養が自分の引き出しにない人が物語を書こうとすると、それが表れるのです。
ギャルゲーに対するディスではありません。決して断じて。
一時代を築いて、その影響が濃い人がいるジャンルであるのも一応理解します。
新海氏に関してはそのジャンルに関わるお仕事もしていたのですから、影響はあっても頷ける話です。
でもそれ「のみ」「しか」物語の素養が無いとなると、脚本を書くにはふさわしいとは言えません。
どの分野の作品であれ、広い視野が無くひとつのジャンルしか素養が無いとなると新しく作品を作り出すには、絶望的にならざるを得ないものなのですから。
未熟な精神の主人公を描くにしても、それを作品にする立場には俯瞰する視点が必要なのです。それなのに俯瞰して物語を作る成熟した視点が、新海氏のアニメーションにはこの作品でもその他でもいつでも無い。
新海監督に関しては、劇場映画としてはもう何作目になるのでしょうか。
誰かが指摘をして、無理して脚本を書くことが監督の担うべき仕事ではない、と言わないといけないのではないでしょうか。
宮崎駿監督式でないといけないと強要されているのだとしたら、それはそれでそんなんじゃなくていいと判断を誰もしてくれない制作体制だとするならば、それは到底理想的ではないということです。
いつか映像を生かした別の脚本家による、ある意味きちんとした話とキャラクターのアニメーション作品が出来たら良いとは思いますが。
恐らく個人の問題ではないかもしれませんので、そうだとしたら申し訳ないですがまあ絶望に感じられてしまいます。
点数は映像の美しさに対してで、映画全体であればマイナスをしたいです。
倫理観の酷さもどうしても個人的には無理です。
フィクションしかも二次元であれば尚のこと倫理のために存在する必要はありませんが、それならばそれで物語としての必然性や作品としての骨子や根になる部分が必要になるはずです。
ふんわりとこんな感じというような雰囲気で、未熟な精神から成立しているかのようなキャラクター描写と物語を展開されても、評価する以前の問題に感じます。
なので評価という意味ならば、映像に対してだけしかできません。
絵を動かすという意味では、正直写実的に過ぎるというか実写の加工の感はどうしても強いにしても、デジタルの技術を駆使し美しい映像のアニメーションに落とし込んで作品にして来たこれまでの成果として。