「『君の名は。』と合わせた一つの問いかけ」天気の子 Takさんの映画レビュー(感想・評価)
『君の名は。』と合わせた一つの問いかけ
になっていると感じました。
『君の名は。』と『天気の子』は、筋書きがほぼ同じ。起:boy meets girl、
承:互いに惹かれ会う2人
展:超常的な厄災により離れ離れ、
結:無謀で勇気ある行動の結果結ばれる。
安心して見てられるし、見てて気持ちが良いですよね。今回もまた泣いてしまいました。
しかし、同じ様な作品でも過程が決定的に違います。
前回の君の名は、文句なしの大団円。厄災に気づいた主人公は周りの人を巻き込み大切な人、その周り皆をその危機から救いました。
一方の天気の子は、ヒロインを救う事を決めた事により、世界の形を決定的に変えてしまいました。あの決定で東京のどれだけの人に悲劇が訪れたか。それは昨今のニュースを見ても想像に難くありません。
今回の作品が賛否が分かれるだろうと新海先生が言っていたのは、まさにこの部分なのかと思いました。主人公の若い行動によって、2人は良いけど周りはどうなん…っていう物語。いや、全然大丈夫じゃなくない、みたいな。
こうして二つの物語を対比し、
君の名は。は二人が結ばれる過程で人も救われて素晴らしい。
天気の子は二人が身勝手な行動をした結果他の人が不幸になってて素晴らしくない。
と、そう思いますか?と問われている様に感じました。
もう大人になれよ少年、と小栗旬が言ってました。大人になる事は、自分の気持ちに折り合いをつけれる様になる事だと思います。
東京に住む名も知らない900万人と、好きになった少女。前者を正しく選べるのが大人なのでしょうね。
『自分の身勝手で周りに迷惑をかけてしまうかもしれない。それはいけない。』
『この特別な感情は一時的な物。良い人だってまた次がある』
何度かこんな言い訳を吐いた後に、正当化された自分に安心し、一人の少女を正しく死なす事が出来るんです。
特に日本は個人の為に集団を乱される事を嫌います。
母子の為に会社を休むと職場に迷惑がかかる。
いじめを学校に訴えると周囲の輪を乱す(狙われる)。
自分や本当に大切にしなきゃいけない人より、無意識に周りを大切にしてしまうんですね。
そんな風に大人になってきた自分だから、天気の子を初め見て手放しで素晴らしく思えないと感じてしまったのでしょう。
でも、少年の自分はそうは思わなかったはずで、後先考えず自分自身や自分にとって大切な人を救う無謀で勇気ある選択が出来た筈です。
何故なら、元々僕らは一人一人幸せになる事を目的としているはずなのですから。
周囲に与える影響が良くても悪くても、あくまで自分達は大切な人の為を第一に考えて行動すべき。
当然代償は軽くない。そんな時に『大丈夫』な存在になれるようにお互いに努力していこう。
当たり前な事だけど、忘れていた大事な事を学べました。