「予告編が出来すぎていたか」天気の子 rinaさんの映画レビュー(感想・評価)
予告編が出来すぎていたか
『天気の子』の上映が決定した2018年、いざ予告編を期待に胸を膨らませ見てみると、まあ素晴らしい。『君の名は。』を超える大都会東京の情報量の多さをそのままに描く繊細な美術のクオリティに引き込まれる。予告の時点で魅力的でたまらない、期待を裏切らないきっと素晴らしい作品なんだろうと人々に思わせる。
がしかし、今回の作品は控えめに言って本当に新海誠が作ったのか疑ってしまうレベルだ。以下、ネタバレを含み、個人的な見解から真摯に批評する。それを理解した上でご覧下さい。
あくまで個人的に"合わなかった"と感じ、"面白くなかった"とは微々異なるため星2.5評価に。正直、星2と迷ったが彼の画力に圧巻したのは事実であるので僅かながら0.5加算。
私が今作のなかで1番違和感を感じた点は"現実世界との乖離"にある。『言の葉の庭』、『君の名は。』もそうだったが、『天気の子』は"現実世界の東京"を舞台にしている。景色に映る様々なお店やその外観、配置は私達が生きている現実世界そのものだ。「あ!ここ学校への近道だ!」となるほど私達が慣れ親しんでいる景色そのものである。しかし、それに対しての登場人物の設定はあまりにも現実離れしていなかっただろうか。
私は彼らを同じ世界の住人として共感しながら捉えていいのか、それともあくまで東京に酷似したファンタジー世界の住人だと捉えるべきなのか、最後まで分からなかった。(所詮フィクションアニメに現実性を求めるのも、映画をエンターテインメントとして受け入れる軟らかい頭が欠けているが。)
この作品の舞台が東京ではなく異世界であれば、支離滅裂なストーリーもさておき、登場人物達の破天荒さにも目を瞑れた気がする。
以下、疑問に思った点を纏める。そもそも、主人公はもちろんキャラクター全ての設定が薄い。田舎島育ちの高校生が親の援助なしに東京で過ごそうと考えるのは後先考えなさすぎではないだろうか。(帆高君は使ったお金を細かくメモするような真面目少年なので、余計に違和感がある)
拳銃の一連の流れは必須だったか?少なくとも銃社会から隔離された日本人には彼の行動は理解し難いだろう。
未成年姉弟が身寄りもいないなかで約1年アパートで生活する(しかも立地もいい、田端駅から徒歩数分)のは難しいのでは?加えて、全体的に彼らのとる行動が自己中心的すぎる。「誰にも迷惑をかけてません!」と言っているが実際はかけているだろう。(落雷や、水害)たった一人の女の子のために東京を水没させる選択は果たして正しいのか?罪の意識もゼロ?フィクションならなんでもOK?小学生含む16歳以下3人の宿泊先がぼったくりラブホテルである必要性が感じられない。結局最後まで彼らの本質が全くわからない、破天荒な少年少女による日本壊滅映画に感じた。
etc...
あとは新海誠の性癖が所々で滲み出ていて、個人的には受け入れられずに終わった。私はフェミニストではないが気持ち悪いと思ってしまった。『君の名は。』から薄々出てきてましたが今作はひどい。やたらとおっぱいの描写があるし、好きな子にラブホのバスローブを着せる?なんというか、中学生男児が考えそうな妄想を可視化したような。瀧くんは可愛らしい童貞臭さでしたが、帆高くんはちょっと狙いすぎて寒かったかな…。一体どの層へ向けての作品なの?何を見せつけているの?青人向けアニメかとわ
長々と文句を書き連ねてしまったが、これは新海誠に期待していたからこそ。彼の厚みのある美術は本当に素晴らしかった。特に花火のシーンは「こんな綺麗に花火を描ける人がいたのか。」とまで思った、ずっと見ていたくなる絵だった。絵に関しては、今までのどの作品よりも素晴らしかった。人目で新海誠だとわかる色使い、筆の細さ、光の描写。新海誠の画力と合わさってこそのRADWIMPSの音楽も然り。だからこそ、もったいないと感じた。
個人的に『天気の子』は残念であったが新海誠に失望した訳では無い。むしろ、新海誠の可能性を感じた。『君の名は。』とは全く違ったテイストの作品を創りあげる才能の持ち主であるから、次回作は良い意味でも悪い意味でももっと私達を驚かせてくれるかもしれない。
猫のアメが超絶可愛かった。(笑)
コメントありがとうございます(´∀`)
所詮はアニメですから、頭を柔らかくして見ないといけないのは理解しつつもやはり現実とのギャップの存在が大きくついていけなかったですね…。
ラブホテルの解釈についてはなるほどですね!きちんと経営法に乗っ取ったラブホは意外と少ないのかもしれませんし、そういった意味ではお金さえあればどうにかなってしまう世の中を描いていて現実的かもしれません。
大体は同様の感想です。
現実世界を前面に押し出されているのに、所々(しかも主人二人にだけ)ファンタジー設定が突然やってくる感じが少しついていけなかったです。
ぼったくりラブホである必要性は、そこなら金さえ払えば不審な組み合わせでも泊めてくれる、と言う意味合いではないでしょうか?