「よく作りこまれている映画だった」天気の子 CP_hareruyaさんの映画レビュー(感想・評価)
よく作りこまれている映画だった
新海誠監督らしい作りこまれた映画だったと思います。 「君の名は。」の登場人物も出てきて、旧作を観てきた人へのファンサービスもバッチリなセカイ系映画です。 特に、ストーリー上で展開される登場人物の心情描写は素晴らしいものであると思います。
映画では、分からない部分や小説を読んでその仕草の意味(晴らした後の太陽に手を透かすのはまぶしいや気持ちいいからではない)まで分かるようになっているので合わせて読むと納得できると思います。 『一人のために世界を犠牲にするか、世界のために一人を犠牲(人柱)にするか』という永遠のテーマと、「誰かのために盲目的に一途になる」ということが登場人物の対比が見どころでしょう。
主人公帆高は、陽菜を救うために、非行を結果として繰り返してしまう。それに対して、須賀は「人柱1人で天気が戻るなら歓迎だ」とか「いい加減大人になれよ」と社会的なしがらみ(親権の問題など)や常識的、模範的な考え方、受け答えをする大人の代弁者(見ている自分たちも含めて)の象徴そして帆高とのやりとりによる変化。
映画の冒頭で拳銃摘発のニュース(メタファー)から、拳銃をひょんなことから手に入れて、拳銃を撃つシーンの対比も面白いと思いました。チンピラに馬乗りにされた時の成り行きでぶっ放しているのと最後には強い覚悟を決めて引き金を引く主人公の心情変化が見どころだと思います。
ラストの終わり方や主人公の行動には、賛否があると思います。しかし、大人となった自分の生活を振り返ったとき、どこかで諦めている自分がいて、折り合いをつけて生活している。それを否定するかのように我武者羅に大切な人のために行動する、何かに打ち込むということを思い出させるような映画であったと思います。
※物事の選択には、責任がありその代償もまた背負わなければならないので、主人公のような非違行為を全面的に支持はしておりません。