「映画的記憶をもっと共有出来れば・・」天気の子 ナガハルくんさんの映画レビュー(感想・評価)
映画的記憶をもっと共有出来れば・・
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「君の名は」に比べ賛否両論あるようだが、前作に比べて、新海監督の天才ぶりが更にハッキリとした作品に仕上がっていると感じた。それにしても、海外の親切な映画を見馴れてしまうと、本作の深淵を覗き見ることに、些かの苦労が伴う。そして、そうした観客に向き合うことを義務付けられた監督を始めとした制作陣の苦労が偲ばれる。
何故、帆高の年齢が最後に、陽菜の年齢より高いことが分かる設定になっているのか。
何故、富美のバイクは水の中で止まる設定になっているのか。
何故、線路の上を、帆高は走り続けているのか。
何故、帆高は銃を撃ってしまったのか。
何故、漫画喫茶やラブホテルが登場しなければならなかったのか。
須加が最後の最後に帆高に見せた家族の写真には、どんなメッセージがあったのか。
かつて、蓮實重彦氏が言っていたように、あらゆる映画的な記憶と、様々な純文学の記憶とを総動員することで、この映画の深淵は、もう少し分かってくるように思う。
マイナス0.5点は最後に、2人を再会させてしまったこと。
映画的記憶に忠実であるならば、違った展開を当然期待していたが、これは新海監督から我々観客に対する真夏の夜のサービスであると捉えた。
このような贅沢な映画を、ラノベの衣装を纏わせながら、少年少女を始めとしたあらゆる世代に送り届けてくれた、新海監督に乾杯!
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