「ラーメンじゃなくて二郎という感じで新海誠」天気の子 Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
ラーメンじゃなくて二郎という感じで新海誠
「これが新海誠か」と思ったね。《君の名は。》は初めて観た新海誠作品だったから、こっちが慣れてなくて解らなかったのかも。
作り方が、これまでのドラマやアニメと違うんだろうなと思った。「脚本があって、演出があって」って感じじゃなくて、初めから完成版がバチってできる感じ。
シーンのつなぎ方が弱いんだよね。「これがあって、次はこのシーン」って感じより、色んなシーンをぶつ切れに入れてきて、少しアート作品に近い。
観始めたときの印象は良くなかったんだよ。アバンタイトルは最悪だしね。それからだらだら説明続くのもどうかと思ったし。
家出してきた子供に『少年』なんて呼びかけるの、ヲタクの妄想の中にしか存在しないし。「キャラの配置が前作と同じだぞ」って感じするし。
それでも少しずつ面白いと思うところも出てきて、途中は物語を観るってより「これ、構成どうなってんの?」って分析しながら観る感じだったな。
ラストに向けては入り込んでいくようになってるから、入り込んで、畳み込むようにクライマックスシーンで、「応援上映ほしいわ。ここ一緒に手拍子だろ」と思ったり、「このファンタジー展開はジブリか」と思ったりしながらね。
『ここで音楽バーンって入れて、こう盛り上げて』っていうのが作り手に最初にあるんだろって気がすんの。そこに向けて色んなピースをはめ込んで作品にする感じなのかな。
テーマになってる「世界がどうなろうと、この人を選ぶ」は共感した。恋愛ってそういうもんだと思うね。同時に、そんなこと言うのは、恋愛経験が乏しいヲタク脳だって気もするね。
《エヴァンゲリオン》について人から聞いたとき「今まであった色んなものをまとめただけ」って話があったんだけど、新海誠もそれっぽいところある気がした。ここ十数年のアニメの流れだとか、「セカイ系」とか、僕が良く知らないジャンルの何かがまとめられてんのかな。
《ラーメン二郎》ってラーメン屋があって『二郎』って呼ばれてんだけど「『二郎』は『二郎』であって、ラーメンではない」ってマニアには言われてんのね。そんなかんじで新海誠は新海誠だって気がした。
新海誠作品いちから観て、色々勉強せなあかんなと思ったよ。