「若者に火をつけるために必要な批判を作り出す決意を感じた」天気の子 52hertzさんの映画レビュー(感想・評価)
若者に火をつけるために必要な批判を作り出す決意を感じた
10代や20代の若者に私の20代の人間の考えが伝わればと思い書きます。
この映画で何か違和感を感じませんでしたか?
何かすっきりしない。え?こんな終わり方なの?
愛によって天気も解決してWIN-WINな綺麗な終わりじゃないの?と。
その選択しちゃうんだ、、、。とか。
私は怒りや悲しみを感じました。
ですが、新海さんはきっとこれが目的なのではないかと考えるようになりました。もっと批判される映画をつくると仰っていたのも、私たちの世代に深く考えて欲しかったような気がします。
感情のままに書き連ねてしまうでしょうが、ご容赦ください。
現代社会や上の世代への思いに対して、この作品を通して沸々と湧く感情がありました。
「狂ってる世界だから」という言葉で片付けてしまっていいのかと。
狂ってるって知ってるならなんで受け身の姿勢でただいるのか。
異常気象を予期していただろう世代が言うには余りにも無責任じゃないかと。更には、心やや少数を犠牲にしていくことも厭わない大人達。
もしかしたら人間の影響なんてこれっぽっちも無くて、長い地球の歴史のように生物が絶滅して新たな世界が生まれる流れの一瞬の必然的な出来事なのかもしれない。
けれど、もし本当に人間による消費社会が産み落としてしまった結果だとしたら?私はどうしてもその可能性を否定できないです。
私が生まれた20年程前までは日本は成長を成し遂げて、その達成感を味わい世界2位でした。バブルの時代の恩恵を預かった人達が今の私の親世代であり社会を牛耳っている人達です。
この人達がつくってきた世界で私は青春時代を過ごしていかなければなりませんでした。
私が生まれてからの時代は環境問題や少子高齢化問題が形骸化し、グローバリズムに飲み込まれて日本の存在感は縮小へと向かっていきました。
この変革の時代を今の10代20代の人々はもっと考えて、生き抜いて、答えを探していかなければないだと映画を通して再確認しました。
上の世代と話す度になぜ私たちが不幸だねと言われ、努力が足りないと言われ、騙し合いのような就活をさせるのか考えたりします。
それはただ1つの理由。
彼らは自分が良ければいいのだからだと私は考えています。
自分は幸運であったことを認知し、若者が生きやすい環境を取り戻すことは自分の残りの安定した残りの人生を壊すリスクを伴い犯したくないから、他人事のように知らないふりをして都合の良いことだけに耳を傾けています。
そしてただ傍観し、世界はもともとこんななんだと私たちを憐れみ、自分は日本の急成長を支えたんだとおごり踏ん反り返っています。
そして彼らに従順に従う、若者が良い子として扱われます。
自分さえ死ぬまでになんとかなればいい。身勝手も甚だしい。
それが続けば今の若者達も同じように自己保身に走ることが目に見えるでしょう。そして、変わることを諦めて傍観者になっていくでしょう。ちょうど最近の選挙でもそうでした。
そうなってしまってはWIN-WINを叶えようとする心は無くなって、かつて自分たちが批判してきた大人達と同じようになります。
しかし、それを良しとしない、外れ者として扱われる、この状況を変えたい若者は必ずいます。新しいものを創造して解決しようとする若者が。
その人達にこの映画が火をつけてくれるのでしょう。
今回天気という、誰にでも経験がある事象を通して社会に疑問を投げかけると同時に若者へ強いメッセージを送っているのかもしれないです。
RADWINPSさんの楽曲もそれを意図しているのかなと思いました。
若者は大人からとやかく言われて、みんなと同じレールの上を歩くか自分がしたいこと成し遂げたいことを選ぶかという選択を迫られるでしょう。みんなと違うことを選ぶことはとても勇気と愛が要るでしょう。怖いと思います。
けれども、どうか自分の信念に沿って自分の道を選んでください。
若者ゆえの愚かな行動だとしても、自分の選択で失敗したとしても、しない後悔より何百倍も小さく、もはや良い経験をしたなと思えて失敗ではなく必要な通過点となります。
私もまだその通過点を重ねて目標に向かっています。この目標を達成する上で奮闘し起こる若者の愚かさをまるごとひっくるめて、映し出してるのがこのストーリーの意味なのだと思います。
長いレビューとなりましたが、この映画は自分を反映できるスペースを敢えて残して考えさせる作品だと思います。それに気づくことができればとても価値のある素晴らしい映画だと思います。その価値を作り出し提供してくださった新海さん・制作の大人の方々に感謝です。こんな風に若者に背中を見せれる大人になりたいと思います。
若者みんなで一緒に考えて、この狂った世界を変える目標を達成していきたいと心から願っています。
将来、新海さんが若者がWIN-WINを達成する映画をつくるのか楽しみにしています。その意味で0.5の伸びしろを残しておきます笑。