「「君の名は。」と比べちゃう?」天気の子 からあげ500gさんの映画レビュー(感想・評価)
「君の名は。」と比べちゃう?
「君の名は。」のようなストーリー展開を考えていた観客にとっては少々”期待はずれ“かもしれない。
ハリウッドでは「(500)日のサマー」でメガホンを取ったマーク・ウェブが実写版「君の名は。」の監督として制作に入ることは記憶に新しい。
2016年公開の「君の名は。」はアニメファンならず、老若男女、世界を巻き込みヒットを放った。
「君の名は。」から3年、ついに新海監督最新作
「天気の子」が公開された。
ただ一つ言いたいのは、「天気の子」は
「君の名は。」の続編ではないという事。
むしろ前作と対立するほど違いがあり、
一種の挑戦状にも受け取れる。
新海監督はインタビューで
”前作でお叱りを受けたのが衝撃的であった。
そのお叱りの元となる気持ちの正体を知りたい。
その正体を知る上で新作はもっとお叱りを受けてもいいのではないか“
というのが制作の根底にあることを明かしながらも
”エンタメ映画として終わった後に観てよかったと
思える作品にしたい“と語った。
本作では異常気象が続く東京を舞台に
家出をし憧れの東京に出てきた少年と
天気を操れる能力を持った少女の
出会いと別れ、そして再会を個性豊かなキャラクターとともに丁寧に描いている。
環境変化、少子高齢化、年金etc.....
「この先大丈夫なのかな?」と思いながら
現代を生きている人へ向けた監督からの
メッセージ性は強い。
もしかすると自分の中で咀嚼出来きれず、
観た後に”モヤモヤ感“が残るかもしれない。
モヤモヤを咀嚼した後に新海監督が伝えたかった
事がうっすらと分かってくるのではないかと感じる。
また、タイトルは当初「天気雨の君」であったが、
「天気の子ども」案を経て、
最終的には「天気の子」となった。
前者は主人公“帆高”から見たヒロイン“陽菜”を意識しているが、
後者は天気の下に生きている”我々“に見方が変わってくる。
また「子ども」だけだと対象が限定されるが、
「子」とする事で老若男女問わず人間全体を包み込む表現となった。
短いタイトル一つとっても新海監督のこだわりと
意気込みを感じられる本作。
かなりメッセージ性の強い映画ですが、
アニメーションの力を改めて感じることのできる作品です。
まずは観て、感じて、自分がどう思ったか。
是非劇場で観ることをお勧めします。