「薄さを感じる要所の数々」天気の子 あまみやさんの映画レビュー(感想・評価)
薄さを感じる要所の数々
正直言って、君の名はの方が良かった
あちらは映像と音楽と盛り上がり、細かくなりすぎない設定の相性が良かったと言える
まず今回は
■主人公
子供、子供ですが、子供だからというにはあまりにこちらが
そんな事しちゃう????となるような数々
がんばれ…!となる前に、いやいやそれはちょっと…という展開の連続。
自分のエゴの押し付けや、そりゃそうだ、と言いたくなる訴えが多く
この時点で完全に感情移入ができない。
それは私が大人と言われる年齢に値するからなのか?
いや、それにしても自分勝手すぎると感じる
更には家を出てきた理由も思春期特有のそれすぎるので
応援や、辛かったね、と励ます、いわゆる主人公へと気持ちを乗せる事ができない
始終、自業自得なのでは?という感情が湧き、主人公に寄り添う事ができなくなる
■巫女設定
とにかくこの設定が甘すぎて
その能力による反動や、動機から始めた反動の侵食が
これもまた、自業自得なのでは?になってしまう
まず授かったあたりがふわっとしすぎている
願ってしまったから、と言っていたが
母親からのあの腕輪が関係あるのか?それとも私が見落としてる所であったのだろうか
個人的にはその能力や、使っていくことにプレッシャーや負担を重ねていったならまだしも
反動があるのか、と明確に察する事ができるのは中盤過ぎの
「彼女も疲れてるようですし」
あたりだと思われる
つまり、唐突にやってきすぎる。
あ、そうなの?となってからの侵食が早すぎて感情が追いつかなくなってしまう内に
消えてしまった
そこに涙も出ないので
感動的に思われる演出や音楽にも置いてけぼりにされて
結果、主人公が言う
俺はあの人に会いたいだけなんだ、の台詞にも
重みが無い
いやだって
その代償ってお小遣い稼ぎから始まっているよね、と思う
ゆくゆくは依頼する人の喜ぶ顔や、役目というものを見つけた達成感によるものには変わったが
それって別に世界に支持された訳でも無理矢理続けた訳でもないわけで
やはりそこには同情や、がんばれ、という応援の感情がわいてこない
恐らくはそこまで世界を救う、的なものにしてしまうとファンタジー色が強すぎるので
そこを一般向けに誰かの願いを叶える、それをネットで集う、という現実的なものに繋げたのだと思う
思うけども、
もう少しこの能力に向き合って付き合っている場面があっても良かったのでは?
特に前半のここらへん必要だろうか?というシーンを削って作っていればもっと違ったんだろう
■まとめ
とにかく、私が感情移入できる要素が無かったと言える
唯一、寄り添えるとしたらライターの須賀さんだ
だからこそ彼に銃を向ける主人公は、何してるん?となってしまう
警察に刃向かうのも
いや、銃発砲したらそりゃそうだ
家出してきてたらそりゃそうだ
なのに、消えたヒロインの事に対し、知らないくせに!とキレる姿も
そりゃ知らんだろ、となってしまう
恐らく能力や主人公がメインで進む話だからこそ
この付いていけないままの自分と、エンドロールに突入し、終わってしまう作品との距離感にモヤモヤして
何も感じず終わってしまうのだと思う
とまぁ突っ込みどころはまだまだあったりする
貧乏さがあまり感じられない生活の感じとか
異常気象って晴れにするのを連発したから起こってたのかと思われる演出や
主人公のいまいち成長したのかなんなのか??っていう全体像とか
ラノベから引っ張ってきたみたいな台詞回しとか
前回の作品のキャラをあそこまで出張らせて使うのは違うだろう、とか(人混みに少しだけうつりこむとかの方が良かった気がする)
何から何まで突っ込まざるを得ない。
これはこうです、とテロップをはられて見させられてる感が否めなかった
ほらこうでしょう?だからこう思うでしょう?といった感じだ
それというのはある程度はベタな演出でも
伝れば自然とそういった感情が湧いてくるのではないだろうか…
それがこの作品に関してはどこにも感じられなかった
そこまで深く見ない、と言われてしまえばそれまでだが
個人的にはあまりに、与えられるものが少なかったと言える