108時間のレビュー・感想・評価
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そもそもそんな役づくりはあかん
何か、難しい。う~ん……108時間眠らない事で、いわゆる「あちら側」にゆく。更にはリンクしちゃう。
元精神病院で演劇するで!役づくりのために、精神を患って事件を起こした人と同じく108時間眠らんといて!
--で、冒頭に書いた事になり。えらい事になるねん。って話ですが、何かもぉ……どっからなん!?ん?結局、何なん!?っていうのが正直な感想です。
感性の問題なので、観る人によって「アンタにゃ分からんやろ」って言われれば、もちろん仰るとおりですが。
小学4年生の息子が、寝るやろうと思って観てたら一緒になって観てて。
「何か良く分からんけど怖いトコは怖い」
って言ったのが、言い得て妙でした。
実に不思議な映画
108時間も眠らずに起き続けていれば精神に(というか脳に)支障をきたすことは誰にだって分かる。本作のキモは、劇団での役作りとして108時間の断眠が導入されていることと、劇を演じる舞台が曰く付きの(閉鎖された)精神病院であるということ。主人公の身に降りかかるさまざまな怪異が、はたして断眠によるもの=幻覚・フェイクなのか、それとも場所柄ゆえの心霊現象なのかが判然としない。そればかりか、一連の出来事のどこまでが演出(演技)によるものなのということの境界も曖昧だ。現実と妄想(幻覚)と演技が渾然一体となって織りなすある種の狂気。観終わると非常に不思議な感覚にとらわれる作品だ。
不眠は病気…
敢えてその先を覗く為、断眠と言う異常な手段で演劇の新境地を目指すと言う。
この時点で色んなものが正気ではない。
主人公ビアンカの父親など初っぱなから妄想性の人格障害で自傷他害の恐れがある。
ビアンカもすぐに物を分解したり、父親と同じく精神病の素養があると思ってしまう。
さらに不眠を勧めるアルマなどは新興宗教レベルで狂っている。
廃病院(精神科)使うのは良いが、なんと言うか汚い!(精神科はその性質上傷みや汚れは避けられない)
更にその観客席も異様だ。
壁穴から覗くように観るとか…アングラ臭が酷い。
不眠でトランス状態を目指すのは結構だが、不眠不休では脳の働きが低下して、台詞も演技も演出も現実的ではない。
この点で私自身の興味は作品がどんな幻覚妄想の世界を見せられるか?に移行し、ホラーでもなくミステリーでもない。
精神病は惹かれ合うのだろうか?と思うほどに劇の参加者は皆一様に異常な雰囲気を持ち合わせ、
統合失調症の妄想に囚われた状態に近付く。
こうなってくると、映像として見せられているものが何処まで妄想で何処までが現実か?解り難い
108時間の向こう側
108時間を起き続ける。その向こう側に辿り着ける選ばれし者が見たモノとは·····。
ホラーといった視点でこの映画を見始めたが、女優とは何か、舞台演出とは何かを考えながらいくつもの疑問を自己の解釈で楽しむことができた。人間の本質から生まれる表現を、観客たちは壁の穴から演者に気付かれないように観劇するというエロティックさ。非日常的快楽故の至極演出は、とても尋常ではない。優雅なBGMは緩急を際立たせ、迫り来るホラー映画とは別物。
ジャンルごった煮ヒスパニック映画
ホラー、スリラー、サイコ、サスペンスといった多要素を放り込んだダイバーシティ作品・・・というのも変かな?自分の観方は、充分ホラー的要素、いわゆる“ビックリさせる系”の心臓に悪い内容の王道を踏んでいたと印象を持った。しっかりとBGMで不穏感を煽り、きちんと小道具で隠れている場所へ誘導させ、そしてそこを開けると結局何もない、と安堵と同時に、カメラフレーム外からの脅かしという、黄金パターンを繰り返すシークエンスは、好事家には涎モノのパターンだと思う。それに丁寧に伏線と回収、フリとオチを仕上げている点、不気味さを熟知してるであろう制作陣のチョイスする小道具の洗練さは、今作品を非常に真面目に制作した意志を強く感じさせられた。鑑賞後のネットでのネタ探しで、映画“インセプション”の近似点を挙げていたサイトがあったが、確かに寝ている夢と寝ない事での幻想は、もしかしたら人間の脳の働きとして同じなのかもしれないと医者ではないから安易に言えないが、麻薬物質が脳を支配するイメージとして同一視してしまっているのは否めない。
4日と半日寝ないなんてのは自分の今までの人生の中では決して体験したことがない、否、してみたいとも思わないが、本能の行為で食べること、生殖行為をすることに比べると比較的文字通り五里霧中のところが大きい行為である。しかも断食ならぬ断眠という、おいそれと実験できない或る意味神秘的な匂いも手伝って興味深いキャッチーさがある。
ストーリー内容も日本人に親和性が高いんじゃないかと思う。演劇の世界という舞台設定も映画“Wの悲劇”を思い出すし、展開が進んでいく中で、メタ構造としての構成がラスト前で行なわれる芝居(急に主人公の髪型がショートになっているカット替に違和感を感じたのはそれが原因)、そして観客だけでなく、演出家さえも騙した演技力を裏付ける主人公の“クセ”を回収する脚本と演出。緻密さをひしひしと感じさせる。主人公の父親がどこかで絡んでくるのかと思ったがそこは無かったのが拍子抜けであったが、何となく、続編を感じさせるようなラストで括る辺りはニクい演出であると好意的に感じた。「憑依」させる仕業も、なんとなく日本の“きつね憑き”とイコールだし、ジャパニーズホラーを踏襲したようなイメージを強く感じたのは自分だけだろうか。
主人公以前に同体験を施された元女優の行動や、パン窯の使い方、特に、4.5日も寝ていない状態の顔つきや身体の疲労感の伝達不足等、幾つかもう一捻り工夫を要望したいが、とにかく丁寧な仕事に敬意を贈りたい作品であった。
炎の奥に
108時間、日数にして4.5日。
日数にすると案外短いもんだなとは思いつつ、その過酷さは想像に易い。
長い事眠れないと死すら近付くうえに、人肉食欲求が出てくるかもしれないし…。
眠らず厳しい演技の指導を受けるうちに自分と役の垣根が曖昧になる描写が好き。
ノイローゼ状態にすることによって憑依させるんだろうな。
無理にホラーに絡めなくても、精神的、脳科学的な実験みたいで興味深い。
眠っていないのに夢のようなものを見る羽目になるのも矛盾していて面白いじゃない。
設定だけで興味津々になれるのに、肝心の断眠自体が強い鍵としてあまり作用していないように思えたのが残念。
先に断眠を始めていた人達が結構慣れきってしまっていたのも違和感だった。
まあ仕方ないことというか、彼らの状態を考えると納得ではあるんだけど。
眠れずに苦しむ姿がもっと見たかったのに。
父親の精神疾患ももっと多く絡めて欲しかった。
とはいえ、ミステリやサスペンス的な話の進み方は意外で良かった。
まさかそんなところで繋がってくるとは!と純粋に驚く。
普通のオカルトホラーに収まらず、捻りと少し胸打つ展開が用意されていることが嬉しい。
演技状態の伏線の使い方もかっこよかった。ビアンカ大好き。
恐怖演出もシンプルにぞわぞわ出来て良かった。
良くも悪くも予想していたものとは違っていて、わりと好き。
見ているこちらも現実と精神世界の境界がぼやけてきそうだった。
赤い文字
108時間寝ていない女性を襲う幻覚や異常行動を描いた舞台を行う為に、演出家が俳優達に実際に108時間断民させて巻き起こる話。
舞台も街から離れた元精神病院の廃院を借りてそこで行うというとして、公演の数日前からそこで稽古をし暮らす俳優陣とスタッフ達。
時間が経過するにつれ様々な不可解な経験をしていくが…実際にやらせる演出家の考えがもう不可解だし。
元々オカルト家系みたいだし、みせているものも幻視幻聴なのか夢なのか妄想なのか本当なのかと結構面倒くさいし、最早断眠は関係ないような。
サスペンススリラーと言えばそうだけど、ホラー染みていて大きい音でただ驚かす演出も多く、期待していたものと違ったし自分には合わなかった。
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