「てんとう虫コミックス5巻“ドラえもんだらけ”」グラビティ 繰り返される宇宙 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
てんとう虫コミックス5巻“ドラえもんだらけ”
未体験ゾーンの映画たち2019の作品群の中の一作。
「やろう、ぶっころしてやる。」とは有名な台詞w いかにもパラドックス感溢れる藤子F先生の名回である。
今作はそんなタイムパラドックスの大がかり版といったところである。それに色々と過去SF作品のパクリというかオマージュも多いのでこの辺りの“日の丸弁当”的構成が鼻につく流れではある。多分、チャイナマネーが入っているのだろうけど、ヒロインの元?妻及びその弟(地上での主人公の元バディ)の押しの強さに少々の“ウザさ”を感じてしまうのは自分だけだろうか。色々な要素を入れてみたらこんなお子様ランチに仕上がりましたと紹介しているような中身なのである。
ストーリーパートの地上での主人公と妻の不仲の理由を物語る振り返りシーンが完全に野暮ったい。あの件は別の表現方法があったのではと思う。いかにも西海岸的刑事ドラマの作りで、それと一気に宇宙へのシーンに繫げるのは無理がありすぎて素直に没頭できない。土星の輪が無数の脱出ポッドで形作られていたというオチも、制作側はそれだけ気の遠くなるような同じことを繰り返しているのだという演出をしたかったのだろうが、それと鏡が割られてある、無いの違いで未来は変えられると言われてもダイレクトには結びつけられないのだ。一言で言えば『チグハグ』。それこそフジテレビの『世にも奇妙な物語』の20分枠に収まるようなプロットをこれだけ仰々しく盛った、コレステロール値の高い出来なのである。
原作があるのかは不明だが、SF映画としてせっかく“画に”ような面白い題材なのだから、そこにドラマ性を加える際のバランスももっと慎重さを求めるべきだと印象を強く持った。男女の“嫉妬”を入れ込んだりとか、似つかわしくないエッセンス詰め込んだりとかね。
そもそもAtropa号はなんでデッドエンド迄行くのか、目的が分らん・・・