「ポリコレに染まった実写化リメイク(辛口)」アラジン スポポビッチさんの映画レビュー(感想・評価)
ポリコレに染まった実写化リメイク(辛口)
先に断っておきますが、アニメ版は観たことがありません。
全体としては楽しめる映画なのですが…アグラバー国って中東っぽいのにちょいちょい出てくる黒人枠のキャストやら毛皮の衣装(暑いだろうよ)の白人の異国の王子様とかが気になってに世界観がわからなくなります。
あと動物のビジュアルをリアルによせ過ぎてマスコットとして機能していない気がしました。
またジャスミン王女は民を想う自分こそがアグラバー国を良い方向に導ける! 自分こそが王に相応しい!と作中でたびたび主張されているのですが、子供がお腹を空かしていたからと店先から悪意なくパンを盗んで与え、衛兵に追い回される世間しらずが本当に王様をやっていけるのか不安になります。
そこはジャスミン王女が自らパンの対価に母の形見の腕輪を店主に渡し、アラジンが義憤に駆られ腕輪を盗んで取り返す方がしっくりくるでしょう。
悪役の国務大臣(イケメンで有能そうな成り上がり者)が王女をバカにした事に共感してしまいました。
また悪役の国務大臣の私兵が町を巡回している事にもご不満なジャスミン王女ですが、少なくとも作中で彼らは泥棒をくそまじめに追いかけるだけで特に民衆を弾圧している事もありません。
アニメ版からの実写化リメイクで曖昧だった部分がはっきりとしたのでしょうか、強い女性として描かれるジャスミン王女は現実見てない感情的な理想主義者しか見えませんでした。
また、悪役の国務大臣が作中やってる最高に悪いことが王城に潜り込んだアラジン扮する怪しい偽王子の処刑と、王様に催眠術をかけて隣の国との戦争に同意させるという子供向けのディズニーらしいショボさかつ、自分が魔法ですでに王様になってるのに元の王と王女をちゃんと王族扱いしてるという、なんといいましょうか頑張って成り上がりました感のある小物だったので悪役がしっかり悪役してません。
成り上がってもずっと2番目で、それがコンプレックスになってジーニーの力で誤魔化した結果破滅するとか、よくいる最初だけ悪役やってる仲間キャラみたいです。2作目は唯一のランプの魔神となった彼が権力に取り憑かれた人間の願いを叶え続け、嫌気がさした頃に良い出会いがあって等身大の自分の魅力に気づき、幸せになるお話でもやるつもりなんですか。
最後にこの映画ですが、なぜタイトルが脇役だったアラジンの名前から取られているのでしょうか?
主役だったジーニーの名前をタイトルとすべきでしょう。