「もっと“モンハン"してくれ!」モンスターハンター ryo-gaさんの映画レビュー(感想・評価)
もっと“モンハン"してくれ!
「モンスターハンター」と聞いて、反応しないわけがない。
私も学生時代には、友人と放課後にマックで一狩り行っていたし、最新作「モンスターハンターライズ」もプレイ中。
人生で一番と言っていいほど時間を捧げたゲームなのだから、アカデミー賞作品そっちのけで観るのも厭わない。
だが、結論から言えば「物足りないな…」という印象だった。
監督は実写「バイオハザード」シリーズを手がけ、主演のミラ・ジョヴォビッチの旦那でもあるお方。
映画冒頭、主人公アルテミスたちが異世界に飛ばされモンスターに散々な目に遭わされるグロ・ホラー描写は流石の一言だった。
ディアブロス亜種やネルスキュラも、実際に目の当たりにするとあんなにも恐ろしいのか…と身震いした。
個人的には、ゲームで慣れ親しんだモンハン世界の過酷さを再認識させるとともに、終盤にモンスターを狩るカタルシスのための布石と思ったので、ここまでは上々。
そして、予告時点で再現度が高くワクワクしていたトニー・ジャーのご登場。仲間とはぐれてしまいながらも、キャンプを立てサバイバルする姿がハマりすぎる。弓と大剣の二重装備もカッコいいので、許せる。
アルテミスと喧嘩しながらも打ち解け、ネルスキュラ・ディアブロス亜種と狩っていくさまは、なかなかアガッた。特にネルスキュラの針を剥ぎ取り→麻痺ビンに調合→ディアブロスを痺れさせ、討伐はモンハンならではの楽しさだろう。
私もディアブロス亜種の尻尾振り回しや突進に悩まされたので、思わず身を乗り出して応援していた。
そこから大団長らと合流し、ボスとも言えるリオレウスの討伐準備へ。双剣の鬼人化、大剣のため斬りなど、アイルー料理長など、モンハンならではの要素にニヤリ。
アルテミスらを元に戻すべく、天楼(?)の門番・リオレウスに立ち向かうも、火球ブレスの前に壊滅寸前のハンターたち。そして、必死で攻撃を避けようとハリウッドダイブをかましたアルテミスはうっかり現世へ戻る…が、何とそこにリオレウス襲来!!
このサプライズは本当に驚いたし、リオレウス無双からの再びハンターとの合流→討伐の流れは熱い。
しかし戦いは終わらず、今度はよりコアで渋いモンスターのゴア・マガラを相手にすることに…、ニャンターも参戦し、俺たちの戦いはこれからだ!!というクライマックス。
ここまで好意的な意見ばかり述べてきたが、本評の星が低いように、全体的には不満が多く残る出来だった。
まずなんといっても、狩猟時間が短いように感じた。アルテミスが狩猟を始めるまでの流れは、もう少しテンポ良く進めてもいいのでは?
間違いなくトニー・ジャーとの2ラウンド目はいらなかったし、親の仇設定も削ってよかったのでは…。あれだけ苦しめられたのだから、ディアブロス亜種の角2本目を折るとか、尻尾を切るとか徹底的にボコしてから討伐して欲しかった。あと、せっかく剥ぎ取った素材をそりにしか使わないのは勿体なさすぎる。
相性はイマイチかもしれないが、リオレウス討伐の武器や防具に使わないと…。そういえば、武器屋が出ないのも何だかなぁ…。
終盤のリオレウス相手に現代の武器を使うのもナンセンスだし、あの取ってつけたような黒幕は誰?
これは細かいかもしれないが、双剣や弓はまだしも、大剣やスラッシュアックス(?)、何よりモンスターの縮尺が所々あっていないかも。
大剣ちっちゃ!リオレウスでかっ!みたいな。
何より、『英雄の証』が吹替版エンドロールにしか流れないって、どういうことだよ!?
たしかにあからさまな演出かもしれないが、劇中でも不可欠のはず。スターウォーズやロッキーで例のBGMが流れなかったら激怒するだろうに、これはひどい…。
ファンムービーと揶揄されるのを恐れ、万人向けに調整したのだろうが、これではファンも門外漢も満足できないどっちつかずの作品である。
とりあえず、帰ってモンハンライズしよう。