「モンハンが好きな人ほど見るべきでは無いです。」モンスターハンター ミズガキさんの映画レビュー(感想・評価)
モンハンが好きな人ほど見るべきでは無いです。
タイトルにある通り、モンスターハンターの、特に"世界観が好きな人"は見るべきではないです。ゴア・マガラ目当ての人も見に行かないのが得策です。
まずモンスターの生態について。この映画にはディアブロス亜種、ネルスキュラ、リオレウスが登場します。ディアブロス亜種は、特に気になるところは少ないですが、角で人間を刺すなど、困惑する戦い方をします。リオレウスは、独自の設定が存在しているため、ある程度納得はいきます。この2頭はまだ許容範囲でしょう。
しかし、ネルスキュラは酷い。まず、砂漠に群れで生活している。本来、砂漠で生活するのは亜種のみで、その亜種も本拠地ではありません。ゲリョスの皮も被っておらず、日光にも何故か弱く、挙げ句の果てには餌として捉えた人間に卵を産みつけています。この映画のネルスキュラは、監督の一般的なホラー要素が欲しいという、エゴにより食い潰された悲しいモンスターです。
次に、ハンターと主人公アルテミスの格闘戦についてです。アルテミスは軍人なので、対人戦が強いのは当たり前です。ハンターも、まぁ原作をプレイしていれば余り疑問には思わないでしょう。しかし、あまりにもこの2人の戦闘パートが長すぎる。近年のバイオハザードに見られるようにもなった、アクションシーン好きな監督のエゴの餌食になっています。モンスターが近くにいるのにそんなことしてる場合じゃ無いでしょう。
料理長のアイルーについても、よろしくないところがありました。映画で大団長のビール(?)をつまみ飲みするシーンがありますが、やたら長い毛が混入しています。彼らは料理のプロです。いくら飲んだとはいえ、ふざけすぎかと。ギャグシーンではありますが、気になったので記述しました。
ただ、この映画にも良いところはあるでしょう。綺麗なCGや、細部まで作り込まれたセット。モンスターとの一瞬の駆け引き(特にディアブロス)。コラボしたモンスターハンターワールドIBのイベントクエストでの伏線もきちんと回収されています。"モンスターハンターを知らない人"ならば、楽しめるとはおもいます。
しかし、私はモンスターハンターを知らない人に、異世界転生だとか、人対人のアクションゲームだとか、蜘蛛のホラーゲームなどといった、間違った印象を植え付けることが許せません。
最後に、PVで一瞬映ったゴア・マガラについて。もしゴア・マガラを目当てにこの映画を観に行こうと考えている人がこのレビューを見ているなら、その足を止めて引き返してください。海外映画によくある、「ここから戦いは始まる。」(続編を仄めかすようなアレ)といったシーンを想像していただきたい。その敵役がゴア・マガラです。映画の一番最後の1分程度しか登場しません。映画の疲れでCGのグラフィックに注目する暇もありません。高画質のゴア・マガラが見たいのであれば、今すぐSwitch版XXを開きましょう。高画質のモンハンが見たいなら、モンハンワールドIB、もしくは最新作のモンハンRISEを購入しましょう。映画を見るだけ時間の無駄です。