「最後には納得できるが、ずっとぼやーっとしている」HELLO WORLD marumeroさんの映画レビュー(感想・評価)
最後には納得できるが、ずっとぼやーっとしている
発想は凄いと思いますし、内容については、一度観ただけで軽く否定できるようなものではないでしょう。
知的好奇心や考察欲が刺激させられて、映像美にワクワクしましたし、楽しませて頂きました。
しかし、総括的に言えば、あまり面白くありませんでした。
まずキャラクターです。話し方や性格、ビジュアルを含めた全てのキャラクターデザインが、なんとなく既視感があっていま一つでした。
次に、アルタラと十年後の世界、その存在理由とか意義というものがいま一つ掴み取れないところです。それは最終的にはしっかり理解はできるのですが、逆に言えば、ラストまでずっとなんだかぼやーっとしています。物語の芯のような部分をはぐらかされているような感覚がずっとありました。シーン都度の説得力という点で魅力に欠けるように思います。
そしてもう一つ残念だったのは、千古の助手の女性研究員がちょいちょい中国語を挟んでいたことです。
大したシーンでもありませんし、大した回数でもありませんので、大した問題ではないのかもしれません。それに現実なら中国人が中国語を話すのは当然だし、研究員にいろんな国の人間がいても全く問題はありません。
しかし、映画で、特にアニメで、本作で、中国語を入れる必要があるのかってことです。いろんな国のキャラがみんなちょいちょい母国語を挟んでいたらおかしいでしょう。まして京都が舞台で全員標準語を話しているのだから、本作ではとりわけ言語に個性や特別性を持たせる必要は全くない筈です。聞き取れない言語を入れる理由などある筈がありません。
勿論前後の日本語でニュアンスはわかりますが、聞き取れないから気になって巻き戻したりしましたし、字幕を観たりすることが無駄以外の何物でもありませんでした。最後に長々と書いてしまいましたが、だからと言ってこれが特別不満な訳ではないことを蛇足ながら付記します。
