「光るものは感じるがいまひとつ」HELLO WORLD 熊髭さんの映画レビュー(感想・評価)
光るものは感じるがいまひとつ
監督のやりたかった事は伝わった。
しかし、やりたい事だけが先行して全体的に纏まりの無い作品となっていたのが残念。
ストーリー・脚本は稚拙。
特に後半からかなり散らかり気味で、綺麗にたためていない。
言いたい事を詰め込んだだけで、本当に必要なメッセージだけを取捨選択するという工程が足りていなかったのでは。
結果、後半から煙に巻かれたような、釈然としない後味だけが残ってしまった。
また、観客的な視点で見ると主人公の感情がうまく繋がっておらず、行動も言動も支離滅裂で電波な印象を受ける。
この辺りも、丁寧に一つ一つのシーンの「感情」を繋げていくという作業が足りていないように思う。
上の原因で感情移入ができない為、泣き所として用意されたシーンも、感情がキャラクターに追従できずに白けた感じになる。
CGはまあまあよく出来ている方だとは思うが、ビビットな色を適当に画面に放り込んでおり、洗練された印象を感じない。
このせいで、後半からの画面が全体的にやかましい。
「電子世界ってこんな感じだろ?」という雑なステレオタイプが散見される。
キャラクタの造形が3Dのトゥーンシェーディング調になっているが、どうしてもこの手法だと安っぽい印象が強くなる。
アニメでこれを使ってしまうと背景とあまり馴染まず、動きだけが滑らかで奇妙な違和感だけが先行していた。
全体的に、サマーウォーズ等の名作を意識した作りとなっており、見られる要素もあったものの、作品全体としては実力不足を感じる作品。
監督の以降の作品に期待したい。
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