劇場公開日 2019年12月13日

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「ルーラとの遭遇」映画 ひつじのショーン UFOフィーバー! 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ルーラとの遭遇

2020年7月4日
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鑑賞方法:DVD/BD

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イギリスのアードマン・アニメーションズの人気クレイ・アニメ『ウォレスとグルミット』のスピンオフ『ひつじのショーン』。
2015年の『~バック・トゥ・ザ・ホーム』に続く劇場版第2弾。

この作品の魅力は何と言っても、笑い声や唸り声や「ん?」とか「お~!」とかその他周囲の音はあるけど、台詞はナシ。
今回も勿論。これが面白いんだよね~! だから言葉の壁を越えて誰にでもウケる。
登場キャラ皆や背景など全て、クレイで造型。その緻密さや気が遠くなるほどの時間を費やしたキャラの動きや豊かな表情は、本当に一瞬も目が離せない!
細かな芸もいっぱいで、ラストである物が落下する際の“NO”なんか面白過ぎて感動すらした。
日本のジブリやハリウッドのディズニー/ピクサーなど世界中にアニメーション・スタジオ数あれど、そのクオリティーはトップクラス!
さて今回は、“SFとの遭遇”。

舞台となるイギリスののどかな田舎町“モッシンガム”にUFOが飛来!
町はUFOフィーバーに。
牧場主はこれに便乗して、子供騙しのテーマパークを作って一儲けしようとする。

散りばめられたSF映画ネタが堪らん!
UFOや宇宙人のデザインは往年のSF映画風。これがクレイ・アニメといい感じに合う。
『2001年宇宙の旅』な音楽と“食パン”。
テーマパークのショーで牧場主が着る赤い服は、某宇宙船号の制服みたい。
宇宙人を捕らえようとする“ウーマン・イン・ブラック”のモデルは、エイリアンの天敵…?
その部下のようなロボットのモデルは、地球に独りぼっちのあのロボット…?
探せばまだまだあるだろう。
話のメインとなるのは、スピルバーグの2大SF。

E.T.は地球の植物を調査にやって来た心優しき老宇宙人だったが、今作は、パパの宇宙船を悪戯してたら飛び出して地球にやって来た迷子の子供宇宙人、ルーラ。
牧場に迷い込み、ショーンと遭遇。仲良くなり、エージェントを振り切って、遠い両親の元に返してあげようと奮闘。
『E.T.』のストーリーに『未知との遭遇』なスペクタクルもあって、改めて偉大也スピルバーグSF。

ルーラはステレオタイプなタコみたいな姿だが、キュートで好奇心旺盛で、不思議な力を持っている。
物体浮遊、物体変化、声真似。
お菓子を食べ過ぎるとラリったようになり(子供のお菓子の食べ過ぎを皮肉り?)、ゲップは地球上に響き渡る!
そんなルーラに手を焼くショーン。
まるでいつもの牧場犬ビッツァーと立場が変わったみたい。
今作でも振り回されるビッツァー。でも、ある事態が起きて悲しむルーラを慰めたり、ラストのショーンの奮闘に協力したりと、ナ~イス! 実は、一番好きなキャラだったり。

コミカルなドタバタ。
通なSF映画ネタ。
一応悪役な女性エージェントも出てくるが、彼女が子供の頃書いて笑われた絵がラストの感動に一役。
健全なファミリー向け作品なのでハッピーエンドは分かり切っているが、それでもハートフルに満たされる。
そして、ショーンとルーラの笑いと感動の交流…。
メチャ面白かった前作に負けず劣らず。今回もメチャ面白かった!

劇場版の第3弾も是非作って欲しいが、個人的にスピンオフのスピンオフを! TVシリーズとは別口で、
牧場主を主役に据えた、題して、『牧場主の呑気な一日』。
牧場犬を主役に据えた、題して、『牧場犬はつらいよ』。
本当に魅力的な作品とキャラたち!

近大
bionさんのコメント
2020年7月4日

ほんと「散りばめられたSF映画ネタ」がたまらないですよね。セリフがない分、よけいに面白い

bion