「切り分けられた世界。」アス ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)
切り分けられた世界。
ジョーダン・ピール最新作を視聴。ドッペルゲンガー物としての不気味さ、キューブリックを思わせる演出も好み。
前作ゲットアウト同様、社会風刺映画として見ると深く楽しめる。
一度見て素直に楽しむと言うよりは、本編で理解できなかった演出意図を視聴後に調べ、作品の根底に流れる真のテーマにたどり着く事でようやく全貌が見えて来る。
そんな作品だ。
その為、分かりやすいホラー的カタルシスを望むと肩透かしを食らうだろう。
見る人のスタンスで賛否割れるのは当然というわけだ。
ただし、どちらのスタンスで見るにしても。独特の不気味なビジュアルは他作品にない個性があるし、ラストの展開には驚くことになると思う。
格差社会を風刺した作風は、韓国映画のパラサイトや、邦画の君の名はとも通づる。国を跨いで同様のテーマの作品が描かれているのも興味深い。今の社会情勢だからこそ生まれたホラー映画と言える。
特権階級と、そうでない者との格差。同じ人間でありながら、生まれながらに持つものと持たざるものに切り分けられる社会。ハサミを持った侵略者達は、持たざる者の苦しみを体現している。
コメントする