マイ・ブックショップのレビュー・感想・評価
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【本と文学を強く愛する気持ちは確かに引き継がれた・・。】
重い色の空
1960年あたり、英国ロンドン近郊の田舎町での物語。静かで綺麗な映像だが、内容とかさなり、どこか重さを含んで描かれる。
本筋ではないが、風景が印象的。海に面して、丘に囲まれて狭小な平地。そこに、中世から取り残されたかのごとく、石造りで作られた小さな田舎町。海風が強く、雨もよく降る、オールド・イングランドのイメージが色濃く残る世界だ。北部の埃っぽく荒々しい自然とは少し違った、湿度の高い海辺の街の雰囲気で、ロケ地を訪れてみたくなった。
そこは、貴族と平民の区分が明確に存在する小さな世界だ。そこで戦争未亡人のフローレンスが、亡夫の思い出を胸に、街に無かった書店を始める。近所の生意気な少女を助手に雇い、読書家である丘の上の引きこもり老紳士との交流を得ながら、書店は軌道に乗り始める。
だが、その街のわがまま貴族夫人の嫌がらせを受けてしまう。それでも負けずに、書店経営を続けるのだが…。
戦争と昔のしきたりが暗く影を落とした中で、前向きに生きようとする主人公と、それを応援する人たちとの交流が暖かく、描かれる。厳しい状況の中で、優しい物語となっている。冒頭に繋がるラストシーンは、豊かな余韻を残してくれる。観て損は無い良作だ。
嫌なヤツが徹底して嫌なヤツ
いやー、重々しい!ねちっこい!
田舎町の本屋ってキーワードから連想されるホッコリ感はほぼ無し;
本屋モノってより田舎の有権者の嫌がらせに耐える話。
嫌なヤツが徹底して嫌なヤツ。
表情、動き、言動……すべてにイラッときます。ある意味見事。
敵ばかりの四面楚歌状態な本屋。数少ない見方も次第に……。
かんなりの絶望感と悔しさに駆られました。
しかし最後のアレで……意外と重くなりすぎずに映画館を出れたのが救われた。
全体ではグッと心掴む部分はなかったかなぁ。
最後のオチは好き。
本が好きな人への贈り物
「本が好き」「亡き夫が好き」「面白い本を読者に届けたい」……
その「想い」と「勇気」だけを武器にひたむきに働く、戦争未亡人の姿を描いていました。
自分の【本が好きだ】って気持ちを刺激して、涙腺が緩くなってしまいました。
落ちはイマイチすっきりしなかったけど、嫌がらせばかりする権力者に一泡ふかせるところは好きだなぁ。
3月9日公開で、1ヶ月の間も、地味にロングラン!
それだけの価値はあったと思います。
心に残る、書店を開店した女性の物語
本は紙派
本が大好きな方
予想を裏切る
芯
実はイギリスの片田舎を舞台にした『八つ墓村』
舞台は1959年、本屋が一軒もないロンドン郊外の小さな港町。大戦で夫を亡くした元書店員のフローレンスは夫婦の夢だった本屋を開業することを決意、準備を進めるが民度が低く保守的な住民はちっとも協力的でなく開業資金の融資も受けられない。それでもなんとか古い民家を改造して開業にこぎつけるが、その民家は町の有力者ガマート夫人がアートセンターにしようとしていた物件だったことから様々な営業妨害を受けるようになる。そんな苦境にもめげないフローレンスの心の支えは町外れの豪邸に引きこもっている老紳士ブランディッシュ。本の配達と文通を通じて心を通わせるようになる二人だったが、その頃ガマート夫人はついに自らの政治力までも駆使してフローレンスから民家を奪還すべく策略を巡らせていた。
てっきり小さな本屋が良書を通じて頑なに心を閉ざす町の人たちを笑顔にする話だと思っていましたがこれが全くそんな話じゃないのでビックリ・・・というか、これはほぼ『八つ墓村』。とにかくそこらをウロウロしているだけの町の人々の容赦なさがもう猛烈に怖い。なかでもパトリシア・クラークソン演じるダマート夫人の卑劣さがハンパなくて観客一同ドン引き。穏やかな笑顔から一転猛烈な怒りを露わにするカットはそこらのホラーより全然怖い。そして何と言ってもビル・ナイ。どんな映画に出ても映画の風格を一段上げてみせる名優中の名優ですが、静かな佇まいからダマート夫人に怒りをぶつける勇猛さまでダイナミックかつ自然に表現してみせる名演は圧巻。一見慎ましやかな未亡人でありながら、いきなり『ロリータ』を250冊入荷する等大手書店でもやらないような大胆な戦略で果敢にマーケットを切り開こうとするフローレンスももちろんカッコいいですが、本作の本当の主役は別にいることを匂わせるナレーションとラストシーンに胸を打たれます。
老後は田舎で静かに暮らしたいなとボンヤリ夢想するシルバー予備軍の顔面に思い切り唾を吐きかける猛毒作品、これくらい盛大に予想を裏切ってもらえると清々しいです。
ゆったりとした時間
なんだか歯痒い…
ここ数年のマイベスト「愛の告白」。
息が苦しくなった。
ラストに向かって息苦しさは増していく。
とてもとても示唆に富む映画だと思う。
小さな書店の美しい女性店主があの手この手で追い詰められていく。最後は公権力を使って法律を利用されて追い詰められていく。
「ささやか」な営みが失われる。
「芸術のため」という大義名分が使われる。店主の親友となる初老の男の言葉が重い。
「芸術は芸術センターでは作られない」、人と人の間に生まれるものだと受け取った。
僕も日々、大義名分のもとに「ささやか」な営みを踏みつけている気がする。
ずしんと重かった。
そして、美しい映画だった。
ふたりの崇高な心が交わっていく過程。
ほとばしる想いを不器用に伝えあう。想いを寄せる人に素直でありたい、という気持ち。
ほんとに美しいラブシーンだった。
ここ数年の映画体験ではベストワンの「愛の告白」だと思った。
みなさんにおすすめする。
ぜひ見ていただきたい。
宣伝文句に騙されちゃダメ。最後は、ちょっと悲しくなりました。
1959年のイギリスの小さな港町。戦争で夫を失った女性が、夫との夢であった書店を開く。軌道に乗りかけた書店であったが、地元の有力者夫人の妨害に遭い、彼女の運命は変っていく。
途中までは、夢があって、中々心温まる話です。ところが、書店が開店して、店の経営が軌道に乗ったあたりから、雲行きが怪しくなります。日本でも、所謂“地元の有力者”と言う層が居ますが、それは、洋の東西を問わないんですね。書店が“自分の計画を妨害している”と思っている所謂“有力者”は、権謀術数の限りを尽くして、書店の妨害をします。そして、最終的には・・・。
いやぁ、若干、救われないなと思わないことも無いですね。まぁ、本好きを育てて、後の世に送り出したという事も言えるかもしれませんけどね。
公式HPや、パンフレットの宣伝文句に騙されちゃダメです。最後は、ちょっと悲しくなりました。
省略しすぎたのかな?
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