マイ・ブックショップのレビュー・感想・評価
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知は開かれていなくてはならない
本屋のないイングランドの田舎町に、小さな本屋を作った女性の話。本屋がなければ人々に読書の習慣はない。本屋が誕生することによって、人々がどう変わるのか。文化施設などの場所が持つ力について改めて考えさせてくれる映画だ。 ナバコフの「ロリータ」を売るのにふさわしい本なのかを悩むシーンがある。本好きだが孤独な老紳士に助言を求めて、センセーショナルだがら本を置くことにするわけだが、なんでも自主規制してしまう昨今の風潮に異を唱えるかのようなシーンだ。 そしてレイ・ブラッドベリの「華氏451」も登場するのだが、その意図は明らかであろう。あらゆる知はできるだけ開かれているべきだと、映画は静かに主張している。 映画も本も、特定の主張によって制限されるべきではない。確かに創作物には社会を変えてしまう力があり、それは時には悪い方向に働くこともあるが、制限してしまえば社会を変える力が衰えるばかりだ。静かでしっとりとしているが、芯は非常に強い作品だ。
ビル・ナイ最高。反知性主義との闘いを象徴、は大げさに過ぎるか
戦争未亡人だが健気に店を開こうと海辺の町で穏やかに奮闘するフローレンス、彼女が夢に向かって自由に生きるのが気に入らず邪魔する保守的な町の実力者ガマート夫人、一方で屋敷に引きこもりながらもフローレンスを応援する本好き老紳士、この3人を中心に物語は進む。俳優3人それぞれによかったが、ビル・ナイの渋さと滲み出るおかしみが格別。後半でがマート夫人と対面するスリリングなシークエンスはまさに演技合戦の醍醐味。全体を俯瞰すると暗い話なのだが、彼と、本屋を手伝う利発な少女、2人の存在が希望を感じさせる。知性と自由な精神を封殺しようとする反知性主義との戦いは、たとえ敗れてもその志は継がれることを示唆するから―というのは大げさに過ぎるだろうか。 冒頭が3人のいずれでもなく少女の描写から始まるのも、振り返る視点のナレーターも、意表を突くラストも、なかなかに巧妙な仕掛けで感じ入った。
鑑賞動機:書店10割
タイトル/著者が確認できたのは…
『華氏451度』レイ・ブラッドベリ、That Uncertain Feelings. キングスリー・エイミス、Collected Poems. フィリップ・ラーキン
『火星年代記』レイ・ブラッドベリ
『ロリータ』ウラジミール・ナボコフ
A High Wind in Jamaica. リチャード・ヒューズ
『たんぽぽのお酒』レイ・ブラッドベリ
でした。
ブラッドベリしか読んだことないけど『刺青の男』『ウは宇宙船のウ』もぜひ勧めてあげて下さい。
冒頭の語り手は誰なんだろうと思ってる間にストーリーが進んで忘れてしまう。うまい手口。
読書に対して揶揄する銀行員への、フローレンスの返しが的確過ぎて噴き出す。そもそも寝てるんだから何をあれこれ言うのかね。
『しあわせへのまわり道』ではとても素敵な役柄だったクラークソンが、全く別人のえげつない人物を演じていて恐れ慄く。「私は気に入らない」認定した後の人間の恐ろしさは、いつでもどこでも変わらないのね。怒涛の追い込みかけてくるが、あまり直接的に描写しないのが余計にコワイコワイ。
終盤それまでの仕掛けが効いてくるのが好き。派手さもほのぼの感もカタルシスにも欠けるけど、むしろそれで良かった。
良質な内容の物語には悪意に満ちた人々のむき出しの欲望が隠れる。
そして良質と善意は年齢と性差を超えて悪意に立ち向かう‼️そんな知性に彩られた物語が好きだ🎵しかしこの作品最後は救いがなく、辛うじて次世代にその意思は引き継がれることによりカタルシスを少し残す。イギリスっぽいと言えばイギリスっぽい。「良質」の描き方がとても和やかでよいので辛うじて★4。「悪意」が最後まで際立つ映画であった。
「人間は滅ぼす側と滅ぼされる側に分かれている」
スペイン、イギリス、ドイツ合作
映像や映画の雰囲気がイギリス映画っぽいと思った
(原作や舞台はイギリスですし)監督はスペイン人の女性なんですね
どことなく清潔感漂う、品の良い作風は原作、脚本家も女性である事
からくるのかもしれません
主人公フローレンスは特に魅力的でもなく特別本好きにも見えず
書店経営に対する熱意のようなものもあまり感じられなかった
そのせいか、ラストの、この映画で伝えたかったことは「勇気」だと
いうナレーションも心に響かず
そのナレーションは、書店でアルバイトするこまっしゃくれた
知的な少女クリスティーンの言葉
この子役は非常に良かった
自分の役どころをよく理解していたように思える
地で、演技っぽくなく振舞っていただけかもしれませんが
「やられっぱなし」の書店側の登場人物たちの中で
それなりに効果のある抵抗らしい事をしたのは
事の是非はともかくクリスティーンだけだったように思える
そういう意味では確かにあれ(書店を「ガマート夫人(権力)の
思いのままにさせない為に」燃やすこと)は
「勇気」と言えなくはないかも
ひきこもりの読書家の老人ブランデッシュも勇気を振り絞って
ガマート夫人に抗議に行ったのかもしれないが、
行く前から結果は見えていたので「やられ役」のようにしか
思えない(死ぬとまでは思わなかったけど)
フローレンスを招待しての「お茶の時間」はイギリスらしく、
でも微妙な空気に、ハラハラしながら見ました
(フローレンスにとっては歳の差を別にしても、
恋愛対象にはならないだろうと思えて)
彼がフローレンスの書店経営のアドバイス役で
興味を持ったのが、ブラッドベリの「華氏451度」で、
すっかりファンになってしまったのが面白かった
文学小説好きな人ってSFを軽視しがちですからね
ナボコフの「ロリータ」は、途中までしか読んでいないけれど
エキセントリックな話で物議を醸したという事なので
(日本で使われる「ロリータ」という言葉とは随分趣が違うようです)
書店経営が困難になるきっかけとして、相応しいなと思った
しかし、一書店でいきなり250部も注文するのは現実的ではないと思う・・・
女性監督らしいキャスティングと思ったのが、ガマート夫人
恐らく男性脚本・監督だったらわかりやすい高慢ちきで嫌みな女に
したであろうガマート夫人を、見た目も立ち居振る舞いも品の良い、
高貴な印象の老女にした
そして、白い顔+きりっと結ばれた薄い唇に鮮やかに引かれた、
異様にはっきりと、濃い口紅の色
これが、じわじわと滲み出る嫌な(権力の)圧力や
驕りのようなものを言外に匂わせていて効果的
この作品の中で印象的だった言葉
「人間は滅ぼす側と滅ぼされる側に分かれている」
私は「滅ぼす側」は、自身が滅ぼされる事に怯えながら生きなければ
ならないし、「滅ぼされる側」になる事も多いと思う
ラストで書店を「抵抗」の為に燃やし(炎上する書店=クリスティーンの
権力へ、されるがままのフローレンス達への怒り)
本好きではないと言いながら、長じて書店を開くクリスティーンにとっての
「マイ・ブックショップ」は「抵抗」と「勇気」の象徴なのかもしれない
タイトルなし
1959年 イギリスの海辺の小さな町 この町には本屋がなかった フローレンスは古い家屋を買い取り 夢であった本屋を開くが 妬み嫉み…裏切りにより奪われる そんななかでも 本好きの孤高の紳士 ブランディッシュはよき理解者であり アルバイトの少女クリスティーンは 強い味方であった . その時代の名作も映画の中に出てきます 本が禁制品となった未来が舞台の小説 📕「華氏451度 ('53) RayBradbury著」 ブランディッシュに渡すはずだった… 📕「たんぽぽのお酒 ('57) 同著」 発売後物議を醸した 📕「ロリータ ('55) VladimirNabokov著」 . 「人は本を読んでいる時 物語の中に住む 本という家のなかで暮らしている」 😍 本も映画も その世界に入りこむ一時が好き 登場人物に自分を投影できるなら尚いい
渡る世間は鬼ばかり・・
原作のペネロピ・フィッツジェラルドは30代の頃サウスウォールドの書店で働いており自身の体験も織り込んでいるのだろう。健気な戦争未亡人に慈悲どころか地元の権力者はもとより街中が利己的で残念な人ばかり、特に友人を装って裏切るBBCのミロ・ノースの背信は許しがたい。
唯一の理解者の老人もあえなく逝ってしまい心清き人がただただ虐げられる様を観せられるのは辛い。
ようやく最後に来て意趣返し、決して褒められる報復ではないのだが監督は情熱の国、スペイン人なのでどうしてもこのままでは終われなかったのだろう。
劇中でも手伝いのクリスティンが主人公のフローレンスに「あなたは優しすぎる、優しすぎる・・」とたしなめるセリフがあった、貧乏な家のせいなのか大人の世知辛さを子供の方が理解しているという悲しさは何なのだろう。
映画なのだからナレーションで要約せずに映像で表現すべきと思ったが最後になって声の主が長じて書店を営むクリスティンと分かって驚いた。それにしても知る由もない銀行家とのやりとりまで観ていたように主人公の心情を語るのは無理があろう。
フローレンスは時代に屈したが本を愛する志はクリスティンの中に生きていますという溜飲の下げ方は通俗的で分かり易いが、散々、ペシミズムに寄せたのなら「善良さとははかなきもの」として終わる覚悟が欲しかった気もする。
えー!
すっきりしない終わり方。皆で寄ってたかって、戦争未亡人を苛め、村を追い出す話。村八分。ラストは本屋を燃やされ、信頼していた少女にまで裏切られたかと思ったが他の方のレビュー見て、少女の小さな抵抗だったのか。それにしても、ビル・ナイがすかっと店存亡の危機を救ってくれると思いきや、発作で死んでしまう‥命を賭けたのだろうが。主役のエミリー・モーティマーの苛められ、悲しむ顔は似合う。仕方ないけど、少し無策な気もした。
雰囲気を楽しむ映画
WOWOWにて。 この映画を通して伝えたいテーマは「勇気」かな。 見る人にとっては救いがない暗いストーリーと感じると思う。閉塞感ある町の話だし。 でも、主人公の勇気が、引きこもり老人を外に出させる勇気を奮い起こしたし、本嫌いの少女の勇気にもなったので、本屋を通しての変化を起こしている。 なぜ本か?と考えると、本には何かを伝えていく機能もあるわけで、そうするとグリーンさんの勇気は後の世代に伝わっていっているんだと思う。 ガマート夫人があそこまでオールドハウスに執着する理由が少し弱い気がしてしまう。数年間空き家だったから油断していたなんて、言い訳にもならないし自業自得。 逆にグリーンさんも本が好きならそんなに湿気が大変な建物を選ぶか?湿気対策していないのか?と思ってしまう。あとは少し強気過ぎるなと。 確執の原因と行動の整合性が少し弱く感じたので、その点の深掘りが欲しかった。映画の描写だけだと、ちゃんと冷静な話し合いで解決できそうに思ってしまった。 以下、印象的なセリフ。 「人間は滅ぼす側と滅ぼされる側に分かれている」 「レイ・ブラッドベリの本がもっと欲しい」 「このお盆を遺言で私に残して」 「そもそも芸術に中核はない」 「人間の特徴として実に素晴らしいのは、神や動物と美徳を共有している点だ。だが神はそれを美徳と呼ばない。『勇気』だ」 「男の内面が豊か空っぽかは常に謎だ」
第二次世界大戦後のイギリスの田舎町に余所者の寡婦がやってきて、 そ...
第二次世界大戦後のイギリスの田舎町に余所者の寡婦がやってきて、
その町に久しくなかった本屋を開く。
という設定だけ聞くと、何か、ぬるい感じの物語かと思いきや、
どうしてどうして、引き込まれる。
物語も登場人物も全体的に静かなのだけれど、
なんだろう、登場人物から発せられる情念みたいなものなのか、
何かパワーを感じる。
寡婦フローレンスの書店経営を邪魔しようとする地元名士夫人のバイオレットの
凛とした雰囲気、静かなる嫉妬、冷酷さ、頑迷さとか。
読書だけで日々を過ごすひきこもり老紳士エドマンドとフローレンスの
静かなプラトニックな愛とか。
何となく主人公の成功物語を期待してしまう観客の一人としては、
様々な困難に見舞われるフローレンスに
救いの手が差し出される展開を望むのだけれど、
何もなされない。
結局、フローレンスは書店を廃業させられて田舎町を去るのだから
アンハッピーエンドなんだろう。
でも、観終わった嫌な気分にならないのはなぜだろう。
渋い!
一言「渋い!」。 ◎よかった点◎ ・1960年頃のイギリス。雲に覆われどんより&寒々とした、人や街並み。 物悲しい弦楽器のBGMなども、実に味わい深い。 ・「ここに私が芸術センターを立てようと思ったのに!」と。 後からジャンケン的に、地元の有力者夫人が書店に難癖をつけていくところ。 ムッカー!。また夫人役の女優さんが、毒蛇のような?いやらしい表情。うまいなあ。 ・本を通じて、書店店主と引きこもり老人が、心通わせていくところ。 老人役のビル・ナイが、めちゃくちゃまた渋い。 枯れたイギリス紳士役は、彼が一番。 ・ずっと語り手が誰なんだろう?って頭の隅にあって。 ラスト、そうか!!!。と驚き&納得。 △いまいちな点△ ・渋すぎて淡々としたストーリーなので。 人によっては退屈かも。 ⭐️今日のマーカーワード⭐️ 「人は本を読んでいる間、本の中に住んでいる」by語り手
破壊するものと破壊されるもの
書物による知識や学問がいかに大切か、田舎の人々にも教えようとする。ただそれだけのために念願の小さな書店を持つことが出来た戦争未亡人のフローレンス。唯一彼女の味方となってくれたのは引きこもり老人ブランディッシュだった。 レイ・ブラッドベリ著『華氏451度』を初めて知ったブランディッシュ。もっとブラッドベリの本を読ませてくれ!と懇願。多分古典文学ばかりを読んでいたであろう老人にとって画期的なSF作品。読書が禁じられた世界の恐ろしさを知り、人々は書によって知性を持たないと、支配者に屈服することとなる。フローレンスも知っていた支配階級と被支配階級。田舎に来ればそんな世界から逃れられると思ったのだろうか・・・しかし、現実は甘くなかった。 BBC職員のノースから紹介された小説『ロリータ』。この本を250冊も仕入れようか迷っていたフローレンスはブランディッシュに読んでもらい意見を聞くエピソードがある。このナボコフの書が作品内で暗喩するものは何なのかと考えてもみたが、どうしてもわからない。単にセンセーショナルだった小説を田舎の人が受け入れるかどうかを表現していただけかもしれないけど、原作を途中放棄してしまっているため真意はわからず。 それにしても小さな海岸の町が閉鎖的で排他的であることはよくわかる。さらにガマート夫人はロンドンの有力者とも繋がってるみたいだし、地方によくいる権力者の象徴的人物。さらにはライバルとなるべく新しい書店へ融資するのが貴族なのだ。人の心を知り、自分の目で物事を知る。そうした原動力となる書物を蔑ろにする権力者たち。政治家が人心を把握するためには愚民にすべきだという社会の縮図のような内容だった。 ストーリーはとにかく悲しい、悔しい、腹が立つというものですが、ビル・ナイの心意気はすごく伝わってくる。しかも、45年間独身でヒッキーなのだが、町の人や出来事を全て把握しているキャラ。それを書簡のやりとりだけで表現しているのだ。さすが名優!
素敵なお店
素敵なお店と店主 もったいない。 Carry on 続けるって難しいよね。 敵だらけでも守ってくれる人、いいね。 ラストにモヤモヤしちゃったから評価低めです。 セット、音楽は良かったです☺
変わらない物語
冒頭の積み上げられた本の場面、語りのシーンから、いい映画の予感がした。片田舎の小さな街に本屋を作ることから生じる不協和音。本屋が仕入れた本が街に与えるハレーション。一冊の本が今よりも大きな意味を持っていた時代だ。何か新しいことを始めるとき、必ず反対する人はいる。それは今も変わらない。だからこそ、この映画は観る人にとても響く。主要キャスト3人の演技も良かった。ブラッドベリ、ロリータと、散りばめられた伏線も面白い。観たあとに余韻が残る、いい映画だった。
二本立て二本目。どうってことない話なのに見入ってしまう。 未亡人夢...
二本立て二本目。どうってことない話なのに見入ってしまう。 未亡人夢叶え本屋開業。 意地悪婆さん登場、種々の妨害工作。 未亡人の色香に溺れる爺さん助っ人たらんとするも火に油、結果自爆。 上品な未亡人店長がいい。おしゃまなちびっこ店員も良し。こんなとこに住みたいという素敵なところ。だが、住んでる住人たちが酷過ぎてドン引き。 良かったのか悪かったのか、不思議な結末がなんとも魅力。見る価値ありです。
ままならない現実と、糧となる物語
まるで本を朗読するように、ナレーションによる人物と状況の説明と共に、冒頭の物語は進んでいく。 その言い回しの、文学的な面白さ、美しさ。本当に読書をしている時のように、物語の世界に引き込まれていく。 本好きにとっては、紙の手触り、インクの匂い、装丁の美しさ、ずらりと本の並ぶ書架に心沸き立つ気持ち、どれも容易に共感できるだろう。 初めてのお客に、『読むべき本』として薦めたのが『華氏451度』であったのも、色々な意味で象徴的だし、老読書家が待ち望みながら読む事叶わなかったのが『たんぽぽのお酒』なのも、なんともほろ苦く物悲しい。 小説の登場人物のように、些かステレオタイプに善悪付けられたキャラクター達。 意志が強く優しい未亡人、ブラッドベリがお気に入りの人嫌いな老紳士、大人びた物言いの少女、権力を振りかざす意地悪な名士夫人。 それを演じる役者も皆ピッタリの配役と名演技。 凛としながら優しくてチャーミングなフローレンス、偏屈だが身のこなしスマートなブランディッシュ氏、理知的で小生意気だが少女らしい繊細さを感じさせるクリスティーヌ。 中でも感心したのが、ノースとカマート夫人。ノースの撫で付けた髪、鼻につくスーツ、一々「ビシッ」と効果音の入りそうなカッコつけ決めポーズ。派手なドレス、白塗り気味の厚化粧にベッタリと赤い口紅、嫌らしさの染み出る仕草のカマート夫人。気持ち悪さを存分に表現してくれていた。 人々の心を反映するかの如く、暗く陰鬱な海、強い風、閉鎖的な田舎街の風景。 本人の預かり知らぬ所で独り歩きする噂話、女性集団の裏表ある人当たり、ぶつけられる悪意、などが苦手なので、それが覆されずに終わるのは、現実とはそういうものとは思いつつも、しみじみと辛かった。 二本立てで、この後見たのが『ビール・ストリートの恋人たち』だったので、不条理な現実って、人間の悪意と弱さって…と、溜め息吐いてしょんぼり肩を落としてしまった。 どちらの作品からも、社会や権力に勝てなくても心は屈しない、というような意志は感じるが、どうしたってやっぱり悔しさは拭いきれない。 途中からナレーションが入らなくなったのを少し怪訝に思ったが、その訳が最後に解る。 衝撃的な展開にやや戸惑ったが、『華氏451度』に掛けてあるのと、多くのジュブナイルにもある通り、大人が仕方なく流される不条理でも子供は見逃さない、という事だろうか。 本を愛する志しは少女に引き継がれ、物語は語り継がれる。この結末も、本という存在には相応しいとも言えるかも知れない。 ストーリーとは別の所で、フローレンスのチャーミングさが最高に私好みで、そのコーディネート可愛い、その服も素敵!と、逐一ミーハーな見方をしてしまった。ブランディッシュ氏の、絵に描いたようなイギリス紳士スタイルも大変素晴らしい。 萌えの面から言えば、お腹いっぱい大満足。
派手さは無いですが、主人公の毅然としたひた向きさが心を打つ
イギリス小説の映画化作品。英国の田舎の海岸沿いの町が舞台。亡き夫との夢を叶えるべく、町で唯一の書店を開いた主人公フローレンスと、それを邪魔しようとする町の有力者との葛藤を描く。まだまだ保守的だった頃の、おそらくまだ女性の起業など殆ど見かけないような時代背景を考えれば、そんなものかな、とも思えますが、主人公もなかなかのもの。当時世間の大顰蹙を買った問題小説を田舎町で大々的に売り出すなど、ある意味とっても”やんちゃさん”なのでした。本作は彼女の店を手伝っていた少女の回顧目線で締め括られるのですが、世代を経て、ゆっくりと着実に古い因習が打ち破られる様を感じさせる演出がちょっと小気味良かったです。
良い作品だけどメリハリを…❗
星🌟🌟🌟レビューの評価が良かったので観たのですが…確かに悪い作品ではないと思うのですがあんまりメリハリがなく途中何回か眠くなりました❗田舎町は特に新参者には地元の有力者の言うことを訊かないと疎外されるのはわかりますが描き方が緩くていまいち感情移入出来ませんでした❗主役の女優さんも上手いので脚本がもうちょっとしっかりしてれば眠くならずラストまで観れたと思うのに…残念です❗
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