「魅力的な新キャラクターと、シリーズ最高峰のアクション」ジョン・ウィック パラベラム リリさんの映画レビュー(感想・評価)
魅力的な新キャラクターと、シリーズ最高峰のアクション
アクションの規模やバリエーション、そして新たに登場するキャラクターの魅力は間違いなくシリーズ最大級だ。しかし、主人公であるジョンの描かれ方や物語の細部には疑問も残る一作でもある。
冒頭、ジョンを助けたドクが即座に処分される展開は、主席連合の容赦なさを見せるための意図だろうが、早々に退場させるには惜しいキャラクターだった。
その後の、銃をその場で改造して組み上げるアクションは非常に良かった。限られた時間の中で、互換性のない部品を即座に判断し対処する流れは、ジョンの銃器への深い知識と経験が感じられる名シーンだ。
しかし、ニューヨークのど真ん中を馬で疾走するシーンは、アイデアは面白いものの映像に違和感があり残念だ。かと思えば、突然の「にんじゃりばんばん」には笑うしかなく、その流れで登場する寿司屋が妙に強いのも面白いが、「7回斬った」というセリフは明らかに回数が合っていない。
残念なのは、2作目から続くジョンのキャラクターの扱われ方だ。
1作目で見せた強さが失われ、砂漠のシーンではただ忠誠を誓うために指を切り落とすだけ。ジョンの内面が弱々しくなっていく様を見せられるのは辛いものがある。ここが底辺であって、ここから物語が上昇していくことを願うばかりだ。
また、最強部隊が攻めてくるのがわかっているのに、コンチネンタルの最上の武器を使わずにスタッフを全滅させた展開には呆れた。
シリーズを通して、犬をキャラクターの行動のきっかけにする手法が続いているが、ここまでくると少しくどく、必然性を感じない。
ただ、最後のウィンストンがジョンを撃つシーンは、二人ともが生き残るための芝居だろう。ここからバワリー・キングと共闘していく流れは良かった。