「凡庸かつ最低のストーリー、よい役者を使いながら手抜きの目立つ映画」新聞記者 mumlobさんの映画レビュー(感想・評価)
凡庸かつ最低のストーリー、よい役者を使いながら手抜きの目立つ映画
先が見えているようなストーリーの流れとシム・ウンギョンの訛りに辟易して、何度か見るのを中断したが、なんとか最後のスタッフロールまで見終わった。
松坂桃李は何をやってもうまい。芝居とわかっていてもその表情に感情移入してしまう。北村有起哉も顔を見ただけで安心する。
シム・ウンギョンもイモトに似ているのが気になったが顔の表情だけ見ているぶんにはやはり一流の役者なんだろうと思う。しかし、訛りというよりトレーニングもしていないような日本語はなんとかならなかったのか。母親がアメリカ在住の韓国人だという設定だけで、この明らかな外国人訛りの日本語の説明をつけようとしたのならひどい手抜きだ。日本語が流暢ならともかく、ふつうに日本人俳優をキャスティングしなかった理由を聞いてみたい。
その手抜きが最後まで頭から離れなかったが、ストーリーは輪をかけてひどいものだった。
最初は望月衣塑子がこのストーリーを考えたのかと、あやうく軽蔑しそうになったが、要素を適当につまみ食いされただけで、映画の完全オリジナルだと知って、犯人は監督、プロデューサー、脚本家だとわかった。今後、この人たちの映画だとわかったものは最初から見ないことにしようと思う。
幼稚な筋立ては勘弁してほしいほどつまらなかった。報道と読み手と世間の反応というものをなめきった認識は憎むべきだと思う。この映画が日本アカデミー? 日本アカデミー賞のレベルがそこまで低いとは嘆かわしい。
松坂桃李の演じた杉原は追い詰められ、信号待ちのシーンのあとに嫌なラストを暗示されて思わせぶりに終わったが、不出来なストーリーを精算することもできないほど終わり方はあざとすぎ、凡庸すぎて声も出ない。子どもが生まれたばかりとはいえ、最悪で官僚をやめればいいだけのこと。外務省のキャリアなら誰でも超優秀なことがわかる。再就職先などどんなに不況でもすぐに見つかる。上司と対峙した時点で机を蹴飛ばしてくればいいだけの話だ。登場人物の知性を一切否定して観客をバカだと思っているようなストーリーにあわせている。ばかばかしい。時間のむだだった。2時間返してもらってすべてを忘れたい。