「勇気ある映画。でも闇は深い。」新聞記者 さんにん@㌦㌦さんの映画レビュー(感想・評価)
勇気ある映画。でも闇は深い。
原作がノンフィクションとのことだが、映画自体がどこまでがノンフィクションなのかはわからない。ただ、現政権を限りなく風刺したものであることは間違いなく、よくもリアルタイムで制作し上映出来たものだと感心する。
国家権力、というより政府の強さや恐ろしさは想像以上なのだろうということを実感させられる。でも組織が意思決定をして同じ方向で統率されるのは組織である以上やむを得ないが、その意思決定プロセスが作為的、恣意的であるとしたら、結果的にある一部の人間の考えが組織の考えに刷り変わってしまい、もはや組織としての正義はない。
疑問なのは、なぜ大多数の組織に属する者がおかしいと思いながらも、おかしな状態が続くのかということ。それは結局一部の上層部の考えが組織の意思となり、それ以外の者は組織という居場所から抜け出す勇気よりも自己防衛の考えが勝り、もはや思考停止した組織の維持を目的とする構成員の一人になるからなのかもしれない。
最期のシーン、多分◯め◯と言ったと思われるが、闇の深さと現実社会の怖さを実感させるのには十分な演出です。
いろいろ考えさせられる映画ですが、主人公が韓国人である必要性に乏しく、たどたどしい日本語に逆に緊迫感が感じられないことと、ツイッターの画面がぶれて文字が見えづらいことがマイナス。元事務次官の出演もリアリティーを出す演出なのだろうが、遠吠えに聞こえ逆に事実が矮小化されてしまっているように見えるのも残念でした。
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