「アクション・背景効果は良かった」名探偵コナン 紺青の拳(フィスト) 竹中さんの映画レビュー(感想・評価)
アクション・背景効果は良かった
今回の映画、まず、非常に爽快なアクションシーンがたくさん見られます。キッドの怪盗アクション、京極・蘭・毛利小五郎たちの格闘アクションなど、作画もよく見栄えが良かったです。
以下はネタバレを含む感想になります。
●京極と園子の関係が良かった。途中、些細なことからすれ違いが起こり、主に園子が臍を曲げて二人の関係が拗れるシーンが有りましたが、京極はずっと園子の側にいて離れることがなく、安心感がありました。
京極真、不在がちということを除けば最高の恋人だと思います。また、ラストシーンの園子の可愛らしさは必見です。
●コナンとキッドの役割分担をしっかり行った上での共闘関係が良かった。名探偵コナンの主人公であるコナン、まじっく快斗の主人公であるキッド、二人とも見せ場を奪い合うようなことがなく実にうまく活躍していました。
正直、予告映像を見た時点では、コナンの映画なのだからキッドに主役を奪われるのはちょっと……と心配していたので、杞憂に終わって良かったです。
○新一と蘭の、恋人関係になった二人の描写を期待していた人は、がっかりしたのではないでしょうか。作中に出てくる新一はすべてキッドの変装。予告映像で見たナイトプールで寄り添う二人も、蘭とキッドでした。しかもそれを新一(アーサー)はすぐ後ろで見ているというもの。
この映画は二人が恋人になった後の時間軸とのことで、原作側もきっと力を入れるだろうと思っていただけに、浮気現場をずっと見せられているような気持ちになり、かなり残念でした。
蘭は早い段階でその新一がキッドの変装だと見抜いていたようですが、ならどうしてそんなラブラブムーブをしたのか……。キッドを油断させて日本の空港で警察に突き出すためだということがラストで分かるのですが、それが分かった後もモヤモヤが残りました。
キッドだと分かっていたのなら、腕を組んだり水着姿で手を繋いだりする必要はなかったのでは……。蘭が尻軽女のように見える展開にただただ落胆しました。
○謎・犯人・黒幕の描写がお粗末。伏線はあったが、上手く作用していないなと感じました。ラストの犯人判明からの黒幕判明、さらに仲間たちの寝返り……かなり緊張感のある展開のはずなのに、登場する勢力が多いせいで纏まりがなく、重みが感じられませんでした。
アクションシーンや人間関係の描写が丁寧だっただけに、謎解きに説得力がなかったのは残念です。肩透かし感が否めませんでした。
良かった点も多いけど、コナン映画に謎解きとミステリー要素を求めている自分にとっては残念な気持ちのほうが強く残ってしまった、そんな映画でした。リピートは無いですね……。