「誰もが共感できる、選択の話」パラレルワールド・シアター Satoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
誰もが共感できる、選択の話
誰もが選択を重ねて今の生活を送っている。結果的に多くの選択肢を捨ててきたことにもなる。
30歳という年齢は後戻りをするには遅く、自分の可能性も過大評価できなくなってくる絶妙なラインだと思うのですが、年齢的境界線・夢と現実の境界線・可能性の向こう側とこちら側の境界線の狭間を描いた、デリケートな作品。
若い監督にも歳をとった監督にも描けないという点で代えがたさがあり、監督が自身や周囲を冷静に見つめているという点で誠実であり、ひいては今の日本を切り取ったスナップショットとしては社会的な価値も高いと言って差し支えないだろう。
表現においても劇中劇を効果的に取り入れていて、一方で演出に酔うこともなく、ストーリーやストーリーにこめられた思いを伝えることを重視する姿勢が見られ、見ていて気持ち良い。
こういった作品が自主制作から生まれることに、商業映画業界は危機感を抱いた方が良い。
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