「【映画の作為性を極限まで削ぎ落し、一人の男の夢を追う姿を見事に描き出した作品。】」ザ・ライダー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【映画の作為性を極限まで削ぎ落し、一人の男の夢を追う姿を見事に描き出した作品。】
ー映画にとって、”作為、虚飾”は必用十分条件であるのは重々承知をしているが、今作は”それ”を削ぎ落したことで、ドキュメンタリー要素も漂わせた見事な作品になっている。-
ブライディ・ブラックバーンは若きロデオ乗り。
映画は、ブライディの頭部の傷のショットから始まる。(素人でも分かる大怪我である。怪我をした部分の頭髪を剃っているため、縫い目が生生しい。)
その影響か、ブライデイの右手はモノを掴むと上手く開かなくなってしまう。(医者からは”複雑部分発作”と説明される。)
ブライディは自らより可成り思い症状(口が効けない・・、身体全体が不自由・・)のレイン・スコットを見舞う。どうやら、彼もかつてはロデオ乗り”ブル・ライダー”であり、相当なレベルの乗り手だったことがブライディの言葉から伺える。
ブライディにとって、レインは憧れの存在でもあったようだ・・。
■白眉と思ったシーン
・ブライディが父が買った荒馬を”クール・プリーズ”と言いながら、優しく愛おしむように手懐けるていくシーン。
長時間掛けて、最後は馬に乗れるところまでになる。父の”流石だな”という言葉。ブライディの馬を扱う熟練の技と共に、彼が如何に馬を愛しているかが良く分かる。馬は”アポロ”と名付けられる。
・ブライディがレインを見舞うシーンの数々。中でも、レインを簡易な人口ロデオに乗せ、ブライディが手綱を捌きながら、楽しそうなレインを見つめるシーン。そして、帰途車の中で静に涙を流すシーン。
・鉄条網で怪我をしてしまった”アポロ”を安楽死させようとするシーン。ブライディが呟くセリフ。
”俺もアポロと同じ。けれど、人間は生き続ける・・。”
・レインが”震える手”の仕種でブライディに伝えた言葉・・。
■エンドロールで、”ブライディの馬を手懐ける長回しシーンを含めて”そういうことだったのか・・・”と気付く。
数少ない登場人物の役名が実名と一部だけ違っているが、ほぼ同じなのである。レイン・スコットに至っては、実名である・・
<この映画には派手なシーンは殆どない。ロデオでの激しきシーンも殆ど描かれない。けれど、この映画は”あるメッセージを雄弁に”見る側に伝えて来る作品である。>
■追記
・先日、今作により、名を馳せたクロエ・ジャオ監督の新作「ノマドランド」が、大規模公開された。才能ある若手監督の更なる躍進を期待したい。
ありがとうございます〜♪
この2週間ばかり、一時的にでしょうがPROの村山さんがフォロー下さっていたので、このレビューもお目に触れると思い、少し気合い入っちゃいましたw
エリナー、早速お調べ下さったのですね。NOBUさんの勤勉さにはいつも頭が下がります。
これは「詩」というタイトルの詩なんです。
「詩とはいったい何か?」と自分の中で定義付けしたかった時に、書物を漁っていて見つけました。
問題、起こっているのですか〜。どのようなSNSにも付き物の、対人関係の諍いでしょうかね?
私もNOBUさんのように、聡明でお人柄の優れた方とご縁を頂けて嬉しいです。
これからも、どうぞ宜しくお願い致しますね。
fukutarouさん
おはようございます。
私は、どちらも面白かったです。
ドキュメンタリータッチの、作為性を感じさせない雰囲気や、出演者の多くが”本人”であった部分など、似たテイストもありました。
ノマドランド ご覧になりましたか? ザ・ライダーと比べていかがでしたか?
私は、ライダーの方がジャオ監督の才能の輝きに触れた感じがしました。
役者ではない本人たちが演じているのでしょうか? 凄い演出力ですね。NETFLIXで2回見ましたが、草原を駆け抜ける風の感覚、映画館で見たかったです。 少年、馬、荒野と、ツボにはまりました。素晴らしい映画でした!
ノマドランド を見た後、この映画がネトフリで見られることを知り、慌てて見ました。期限切れにならず、本当に良かった! 映画館で見られたらもっと良かった!!
馬物語が好きです。馬を手なずける様がじっくり映し出される場面に、主人公の歴史や優しさがにじみ出ていました。ノマドランドを見た後だったので、演じ手が実際のロデオの人たちだとは想像できましたが、演出力が
やっぱり凄い!
ザ・ライダー→ノマドランド の順の方がジャオ監督の才能にもっと驚いたと思います。 小説で言えば、ちょうど、「かか」→「推し、燃ゆ」の順番で読めば良かったと悔やむように。 初めの作品に、純粋に、てらいなく作り手の想いと才能が凝縮されているような気がします。
「ザ・ライダー」素晴らしかったです。