「女性の影響によって」闇の歯車 つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
女性の影響によって
時代劇専門チャンネルの作品。レビューを書くところがあったので書いているが、この作品は映画ではないだろう。
映画として観てしまうと少々格が不足している感がある。昔やってた年末時代劇みたいな感じだろうか。
格が落ちるとは書いたものの、作中のセットには感心してしまう。時代劇撮影所なのだろうが、自然物の入り込み方とか、細かいところに目がいってしまった。
藤沢周平原作の映像である。
藤沢周平の小説は読んだことがないけれど、映画化された作品群を見るに、意外と作風がロマンスよりなんだよね。
そういった要素のある作品ばかりが映像化されているのかもしれないけれど、自分が観た範囲ではそうだ。
時代劇の中のロマンスといえば、選択の不自由とか、武士の立場ゆえの不自由とか、そういった「ままならなさ」が魅力だろう。
私とあなた、好き同士だから一緒になりましょう、なんて現代的な気軽さがない。
藤沢周平作品の中では、良くも悪くも女性が男性に対して影響を与えるようなものが多い印象だ。シェークスピアのマクベスみたいな。
この作品にでは、多くの登場人物が女性の影響により押し込みをすることになる。そして、女性の影響により自らの運命が左右される。実に藤沢周平らしい満足できる内容だった。
難点としては、尺が短くて物足りない感じがすることだろうか。
もう少し掘り下げて欲しいところも多く、エモーションの蓄積がされないままに終わってしまった感じがした。
観る側の気持ちを溜めとくタイミングがなかったんだよね。
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