「圧倒的ビジュアルの良さを殺す脚本」名探偵ピカチュウ s kさんの映画レビュー(感想・評価)
圧倒的ビジュアルの良さを殺す脚本
圧倒的にビジュアルが良く、程よいリアル感がポケモンの現実的実感をたかめてくれる。
この世界の延長にポケモンがいる世界があると、そう思わせられる映像美だった。
星は、その映像の美しさと、単純にピカチュウの可愛さに入れた。
見所は正直そこだけだ。
ただ、あまりにも脚本が稚拙。
主人公は感情移入する場面が無く、バックボーンの描き方も雑。
何故、父親と不仲なのか?
何故、パートナーポケモンを持っていないのか?
何故、ポケモンが好きじゃなくなったのか?
普段の職場は? 仕事仲間は? 何が好きで何が嫌いか?
この主人公からは、そう言った生きた人間のリアルさや、生活感が見受けられません。
せめて、パートナーポケモンって言葉が頻繁に出るのだから、ストーリーに組み込んで、ピカチュウとの絆の指針にすれば良かったのに。
まぁ、その為にはパートナーポケモンの説明が必要なので、少しくどい展開になるかも知れませんが。
また、ピカチュウの見せ場が少なく、ラストバトルでは、ただの時間稼ぎになっています。
本作の黒幕も目的が不明瞭だし、取れば外れるような機械の前に、敵対するガキを置いておくのも納得いかない。
せっかくピカチュウが電気技の出し方を忘れていたのだから、黒幕の制御機器の一部が電気に弱く、主人公とピカチュウが協力し合って電気技(ボルテッカー等)解決する感が欲しかった。
バディもののはずなのに、お互いが支え合っている感覚が弱く、目的も緩い。
主人公に感情移入する要素が少ない為、父子のわだかまりを抱えたまま、それでも愛して抱き合うシーンは、何処か他所様のホームビデオを見ているようだ?
せっかくの超絶ビジュアルも、このストーリーでは子供騙しだった。
いや、子供は思っているよりも正直だから、子供もそんなに騙せないだろう。
最後に、
版権的に難しいのは分かるけど、ピカチュウが1人で歌う場面。あそこは目指せポケモンマスターにローカライズして欲しかった。米国版オープニングが分かる人は、国内には少ないだろうに……。