「☆☆☆★★ これは、過去の『ロビンフッド』とは全く違う映画。 【 ...」フッド ザ・ビギニング 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
☆☆☆★★ これは、過去の『ロビンフッド』とは全く違う映画。 【 ...
☆☆☆★★
これは、過去の『ロビンフッド』とは全く違う映画。
【 注意 】 観る人の受け取り方によっては超危険な思想の映画となりうる。
ロビンが帰国しジョンと再会した時に、ジョンはロビンへ言う。
「無力なのは、自分が無力だと思うからだ!」(この辺りはヘラヘラと観ていたので正確ではない)
ジョンがロビンに弓の指南をする辺りでは。
「おっ!『酔拳』?いや『カラテキッド』?…って言うか、日本的に考えたら塚原卜伝か?。そして、石川五右衛門&鼠小僧次郎吉かい?。これで杉作が登場したら『鞍馬天狗』でオールスター揃い踏みだな〜」
…等と、のほほんと観ていたら。中盤辺りから…。
「ちょっと待てよ!俺?今、とんでもない思想の映画を観ているのじゃないだろうか?」…と、少しずつ心配になって来た。
ここ数年間で、どれほどの◯メリカ万歳な作品が製作されて来た事だろう。
曰く。《テロには決して屈しない》を公に公言し、特定の民族を【敵】として描いて来たハリウッドが…。
映画は、完全なる勧善懲悪の物語。
とにかく観客を飽きさない様に、ドラマとドラマの繋ぎの役目を果たすアクションシーンの凄まじさは。はっきり言って超娯楽ジェットコースタームービーとして相応しい…のだが!
ここ数年で、世界中を席巻しているのは。権力を持ち得た、国を動かす指導者の右翼化だ!
〝恐怖〟を煽って(または国◯との言い方を駆使して)は、あらゆるメディアを利用して民衆を扇動する。
そんな指導者にとって、〝恐怖〟を煽り続ける為に。権力の座を維持する為にも、大事な産業と言えば《軍事産業》に他ならない。
国を潤す為の軍事戦略は、自分の権力を維持する為にも1番の近道でもあるのだ!
ところが、それだけではない。
映画の中では、より権力を持つ人物が登場し。民衆に対して、【神】の名を語って民衆を煽り続けるのだと言わせているのだ!
「神は恐怖を与えた」…と。
神に使えし者が、神の名を語り民衆を扇動する。
そんな映画が、今この時代に製作されている事の意味は一体何故なのか?
映画の後半で、ロビンは自らの素顔を晒し叫ぶ!
〝 聖戦だ 、…と。
すると平民の1人が叫ぶ!
〝 神と共に戦おう。…と。
この時に。映画を観ていて、再びこの台詞を思い出したのだ!
「無力なのは、自分が無力だと思うからだ!」
州長官は差別的な意味を込めて、アラビアの民であるジョンに対してはっきりと言う。
「豚の血を飲ませてやる!」
製作側が。どんな思いを持って、この映画を製作したのか?…は、想像の域を出ないのだけれど。少なくとも、これはハリウッドの資本が投入されている超娯楽エンターテイメント映画に間違いはない筈なのだ!
それこそ勧善懲悪風味の、娯楽エンターテイメントとして、一級品で有るにも関わらず。観る人の受け取り方によっては、或る特別なメッセージになり得てしまうのではないだろうか?…と。
その危険の炎は、作品の奥底に潜み続け。危険な扇動を煽ってはいないのだろうか?…と。
今この時代に、この作品が生まれて来た事実には。スクリーンを眺めながら、本当に驚愕してしまったのだった。
2019年10月21日 TOHOシネマズ日比谷/スクリーン7