「勿体ない」アースクエイクバード kekeさんの映画レビュー(感想・評価)
勿体ない
タイトルの「地震が起きた後にだけ鳴く鳥」という意味は分かったが、この映画と何の関係があった?
随所に日本の文化を映しているが、無作為に要素を散りばめる感じで物語の軸に溶け込んでおらず勿体ない感覚を覚える。日本が好きというより日本の材料をコピペしただけみたいな。
・主人公(女)は死に魅入られている
・彼氏も何かそれっぽい
で、お互いに惹かれ合う動機としては明瞭なのに、出会い頭にいきなり蕎麦を食べ始めて「惹かれている」と発言してもう置いていかれた。そこは運命の出会いで解決しちゃいけない部分。まさかそれも日本文化を踏襲したとか?
主人公が突然脱ぎ始めたと思いきや「そんなこと求めてない」とか言ったのに別日にしっかりエグザイルしてるし。とりあえずセックスで死をごまかしたいってとこだろうか。
・彼氏のコレクションを勝手に調べたら死にゆく人間が映っている写真を発見した
エグザイルするならここからだろう。
彼氏が死についてどう考えているのか、そして自分は、みたいな混乱の中で確実に惹かれていくはずなのに、映画にはそんな描写は一切無かった。
・女友達が彼氏と仲良くなり始めて主人公が嫉妬する
後半でほとんどの尺を奪っているが、果たして必要な要素だったのか。
なぜなら主人公がこの友達を殺したわけでもなく、彼氏が殺したもののなぜ殺したかの説明も無い。自分はこの物語のテーマが死だと思っていたので、この嫉妬云々が死と無関係なものに感じてしまった。
・山登り中に気分が悪くなった主人公をその場に寝かせたまま遊びに行く
これは無い。まともな人間はこんなことしない(まあ彼氏はまともではなかったが)。
主人公は怒りの全力坂で山を降りていって二人を見つけるも「悪かった」と言われて話が先に進む。
このあたりから何がどうなってるのか意味不明になってきた。それこそ「実は死んでほしいと思っていた」とか、何もかも主人公の妄想(実は彼氏も友達も存在しない)だったなら分かるがそうじゃないらしい。
描写が圧倒的に足りない。どうやらそうらしい、という感覚で勝手に結論付けられていく。
日本に関係しそうなことを切り取って並べただけのモノに成り下がっている。