「結局北欧の至宝は宝」ポーラー 狙われた暗殺者 おさとうさんの映画レビュー(感想・評価)
結局北欧の至宝は宝
総合:★★★☆☆
ストーリー:★☆☆☆☆
キャスト:★★★★★
演出:★★☆☆☆
音楽:★★★☆☆
この作品を観る為にNetflix登録したと言っても過言ではないので楽しみにしていてやっと視聴。
その期待値が大きすぎたのかもしれませんが、第一の感想としては「マッツ・ミケルセンを観るための映画」もしくは「マッツ・ミケルセンが出ていなければ観ていなかった。」という感じです。
冒頭はミッション・インポッシブルや、キングスマンを彷彿とさせるようなスパイアクションシーンから始まります。多少の性的表現はありますがR15表記ならまあ妥当な程度。使われていたBGMもEarth, Wind & Fire の Septemberで始まり、個人的に思入れのある曲だったので心持ち気分も上がりました。
場面の転換があり、私の大好きな北欧の至宝が登場。今まで良く見るゴリゴリの厳つさや、紳士的な役柄とは程遠い年老いた中年のような見た目、健康診断のシーンで見えたお腹は少したるんでいたような...。恐らく役作りとは思いますが、新鮮な役どころで一体この定年退職間際の中年の殺し屋がどう動くのか、更に期待が高まります。
物語が大きく動くのがダンカンがヴィヴィアンとカフェで話をするところから。
定年退職が迫り、余生をどう過ごすか思案するばかりのダンカンに最後の仕事がヴィヴィアンを通して指令が下ります。内容としては「チリの富豪が会社のエージェントを殺したので報復してくれ」という裏社会では恐らくありきたりな依頼内容の物。ダンカンは若い者に任せろ。と一蹴し断りますが、「報酬は前金100万、任務遂行後に100万支払う」という条件で依頼を受けます。
ダンカンがチリにて清掃員に扮し、ターゲットがいるホテルでオーバーキルする場面までは爽快な殺し屋アクションとして観ている事が出来ました。
問題はターゲット本人との場面の後からです。
ダンカンは今回引き受けたMr.ブルートの任務には裏があると考え、ターゲットを拷問し真相を聞き出します。ダンカンがハンマードリルでターゲットの体を壁に拘束した時点で「あぁ、拷問コースだな...」と察しはしましたが、まさかドリルでおでこに穴開けるとは思わないじゃないですか...暫くR指定の作品は観ていなかったのでメンタルぬるま湯だったのだと思います。一旦一時停止ボタンを押して小休止。全作視聴済みのSAWがR何歳で指定かググってしまいました。見事にR15+でした。これなら観れると自分に言い聞かせ再生ボタンを再度押し視聴再開。
その後はダンカンがカミーユと仲良くなったり、Mr.ブルートの策略に気づいたり、自分を殺しにくるエージェントを殺したり、攫われたカミーユを助けに行ったり、拷問されたり...
かなり早足で物語が進みます。各キャラクターに物語があり、伏線として用意したであろうシーンも多くありましたが、全てを拾いきれていない印象でした。「ん?あそこのあれって結局どうなったん...?」みたいな。想像すればいくらでも物語の裏側を自分なりに楽しめるとも考えられますが笑
個人的にはダンカンとカミーユの過去だったり関係性を掘り下げて欲しかったです。最後にカミーユがダンカンを問い詰めるシーンであまりにも2人に関する情報量が少な過ぎて感情移入できませんでした。更に欲を言えばダンカンはカミーユに殺されてしまう展開の方が美しく終わったような気がしますね。
一つの映像作品を作る上で脚本家や監督が伝えたい事、どういったジャンルの作品にしたいか。最低水準の察する力が備わっていれば物語の大筋は分かりますし、無難に楽しめます。ただ作品が一本化されていない様に感じました。アングラにしたいのか、エログロにしたいのか、ブラックコメディにしたいのか、爽快アクションにしたいのか、色々詰め込み過ぎて自分の中に物語が落ちてこないというか、理解はできましたが納得は出来ませんでした...。
本職俳優の方がメガホンを取った作品でもあり、今後の監督としての顔に期待、という事で星は3つ。
少し辛口のレビューにはなってしまいましたが、Netflixオリジナル作品でここまでダイナミックで迫力のある作品が見れるのであれば、有料会員に継続しても良いかな、と思わせてくれる作品でした。
脚本重視、もしくは過激(性的、残虐的)な表現が苦手な方にはあまりお勧め出来ませんが、ミリタリー系、裏社会系、非現実的、キャラクターのビジュアルが独特、等々が好みの方はふつうに楽しめると思うのでぜひ一度観てみてはいかがでしょうか。