「大友監督はムラがありすぎる」影裏 背中にエンジンさんの映画レビュー(感想・評価)
大友監督はムラがありすぎる
原作未読。綾野剛は結構好きな俳優だし、大友監督=「るろうに剣心」だからと安心してレンタル。が、大友監督ってムラが有るのを忘れてたw
原作未読なので、どこまで原作の通りなのか、どこからがオリジナル要素なのかは分からない(一応、原作のレビューで、原作は短編、今野がゲイ、震災は原作でも有りまでは確認した)が、本来はエンタメで実力を発揮する人が、純文学原作で芸術的な映像を撮ろうして失敗したパターンとしか感じられない。
観ながら、(このシーン、このカット要るかなぁ?)と思う箇所が多々。そして、時間は130分越えとなるとキツい。序盤、やたらに今野(綾野剛)のモッコリパンツとか出るし、雰囲気的に今野がゲイなのは想像出来たが、映画として必要なのかなぁ?と言う感じ。酒を呑んで部屋に泊まった日浅に無理矢理キスをした時には驚きは無い。拒否する日浅だが、その後も普通に友人として接して来る。無理矢理迫った事を咎める事も無いので、日浅が本当はゲイなのかノンケなのか分かりにくい。日浅の謎と言うか、秘密の部分は震災後に明らかになる部分だけで良かったのでは無いかな。
今野にしても、日浅への感情が恋慕なのか、単なる性欲なのかイマイチ掴みにくい。それは終盤を観ても、恋慕なのか友情なのか分からない。
役者がほぼ上手い人なので、一応最後までは観られるが、演出がそれに頼り切っている様にしか見えない。
ラストで、今野の新しい恋人(ゲイ)が出てくるが、如何にもゲイと言う感じで、演技の問題なのか演出なのか分からないが、あそこまでステレオタイプのゲイにする事は無いだろう。あのシーンは今野一人だけの方が締まったと思う。
終盤以外、外回りで顧客の病院の医師や、震災後に日浅の父兄に逢う時でも前髪で目が隠れる様な今野が、終盤でやっと髪型を変える。気持ちの変化を表すならば、とても陳腐な演出。