「ガンダム初心者でも楽しめました」機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ けん珍さんの映画レビュー(感想・評価)
ガンダム初心者でも楽しめました
ガンダム作品を初めて見ました。
でっかいロボットが壮大なBGMを背に戦うことにかっこよさを感じる方であればガンダムの話を知らなくても楽しめます。
ガンダムを知らない人でも知っているであろうビーム砲やビームサーベルを使った戦闘のカッコよさや、この手のジャンルにありがちな少し周りくどいようなセリフ回しの会話など「それっぽさ」を感じる仕上がりの中に、ガンダムやモビルスーツの戦闘を一般人視点で描く生々しいエグさがありました。
また、ストーリー的な側面からみると印象的なのはハサウェイの描く理想と世間が求めていることのズレ。そこには過去にシャアが破壊することができなかった「仕組みの深さ」をハサウェイが知っていることやハサウェイ自身の理想を求めすぎる危うさ、幼さが見られるのではないかと思います。このあたりをYouTubeの無料公開パート15分や「逆襲のシャア」のまとめなどを見て予習しておくとハサウェイの葛藤に寄り添って作品を見られるのではないかと思います。マフティーや地球連邦といった大きな立場からの主張だけでなく、宇宙移民や地球で貧しく暮らす人、組織の中の個人としての想いが描かれていて、考えさせられる作品だと感じました。
注文があるとすれば3つ。
まず、ギギについて。
魅力的な容姿、どこか気が置ける不思議ちゃんで物怖じしない姿勢、何やら潔白とは言えないであろうほの暗い背景はいわゆる「危ない女」といった位置づけを確立しておりヒロインとして魅力的です。
このようなヒロインにハサウェイが足をすくわれるのも頷けるのですが、意味深なのか意味あり気なだけなのかいまいちわからない発言や何がしたいのかよくわからない行動が多く、その点においては惹きつけられる不思議さというよりは見ていて困惑するしかないといった印象でした。
続いてガンダムの描写について。
本作では夜間戦闘が主ということもあり、ガンダムが登場するシーンはいずれもかなり背景が暗く、よく見えません。戦闘のスピード感や一般人という視点の低さから見上げるエグさと引き換えにガンダムが静止して全身を表すシーンがほぼなく(Ξガンダムに関しては全くなかったような気さえします)、見終えた今でもガンダムの全身デザインがいまいちつかみ切れていません。そのため、ガンダム初心者の私ではビームサーベルの色ぐらいでしかどっちがどっちのガンダムか判別がつきませんでした。
最後にエンディングについてです。
本作品は三部作の一本目ということでクライマックスがあまり盛り上がらない印象です。それでいて次回作をちらつかせるような引きでもなく、三部作ということを知らないと「え?これで終わり?」といった感想を抱かれて当然かと思います。