「全くガンダムを知らない人にこそ観て欲しい。」機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ ムンさんの映画レビュー(感想・評価)
全くガンダムを知らない人にこそ観て欲しい。
『ガンダム』
「ああ・・・ロボットのヤツね?」
「めっちゃオタクが居るヤツでしょ?」
「私はそういうの生理的に無理だから。」
そういう人にこそ、色眼鏡を外して観て欲しい。
ガチャガチャとロボットが戦うファンタジックな世界感では無い。
息を呑むようなリアル、複雑な人間関係と心理描写。
特に、主人公のハサウェイを軸とした絶妙な心理描写は、自分に思い切り刺さり、
今までの人生で体験した様々な事、
良かった事も、悪かった事も、
簡単に言葉には出来ない何とも言えない気持ちが沸き上がる。
これ以上の追体験を自分はしたことが無い。
主人公を取り巻く人々も同様で、それらの登場人物に自分を重ねる人も居ると思う。
そして、
場面の切り替え方、そこへ差し込まれる音や曲の使い方が物凄く上手い。
映像・音・展開と自分がユニゾンする感覚が超キモチいい。
戦闘シーンにおいても、
非常に演出が素晴らしく、アニメとは思えない強烈な緊張感が持続する。
特に終盤の戦闘は秀逸で、主人公機の登場シーンなんかは震えが来るほどカッコイイ。
ストーリーについては、
可能であれば前作「逆襲のシャア」の粗筋ダケでも確認したほうがよりわかり易いが、
「ガンダム」について何の知識が無くても特に問題ないと思う。
ただ、前作「逆襲のシャア」でもそうであったのだけれど、
「尺」が足りない(テンポが良いともいえる)事により、一見短絡的なセリフが多く、
映像として表現されていない間にあったであろうことを想像する、
小説でいう「行間を読む」必要がある部分も多いが、
ソレも、そこまで気にしなくても楽しめる。
気になるなら何度も観て補完すればイイし、その価値がある作品だと思う。
主人公ハサウェイの声優が其れまでの作品から急にかえられたことで炎上したようだけれど、
結果的には大成功だと思う。
前作から12年の月日が流れ、様々なことを経験し、成長した感が醸し出されており、
しかも、本当に感情表現が上手い。
救済策?として、劇場版限定特別版ブルーレイには、前作までの声優による、小説版のリーディングCD(なんと、6枚組!)がついてくる。
ともかく、
アニメだとか邦画だとか関係なしに、世界レベルの映画として通用する作品。
劇場で終わった後の話を聞いても、
観る人によって、観方によって刺さり方が多岐にわたる作品。
真に理解しようとすると、カナリこちらで察して行間を読む必要があるけれど、
それ抜きでも、男女も問わずに楽しめると思う。
可能ならば、4Ⅾでの鑑賞がよりオススメ。
初めから4Ⅾ前提で製作したんじゃないか?って位のつくりになっている。
自分は現時点で、Blu-rayを購入したにもかかわらず、
4Ⅾ含めて劇場に3回足を運んでるけれど、まだ何回かは観たいと思う。
ジブリの名作と呼ばれる作品、難解だったTENET、衝撃的だったプライベートライアン位しか3回も劇場に足を運んだ作品は無いけれど、本作は最多記録になりそう。