劇場公開日 2021年6月11日

「単体では楽しめないがファンなら満足の出来」機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ Ko Fuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0単体では楽しめないがファンなら満足の出来

2021年6月13日
Androidアプリから投稿

正直に言えばかなり鑑賞条件の厳しい作品。まずガンダム、しかも逆襲のシャアあたりまでの作品にどれだけ思い入れがあるか、が大事になります。ここが薄いと楽しめない可能性が高いです。最近のガンダム作品にしか触れたことのないユーザーには受けないと思います。MS戦のクオリティは高いが全体的にリアルさに重点を置いているため派手ではありますが華々しくはありません。そういうものを求めていると肩透かしを食らいます。こういった描写は古いガンダム作品に多く見られたものなので、そういう意味でもファン向けな描きかたと言えます。
次に全体的に人間の描きかたが大人向けです。原作者の富野監督自身が大人な男女の姿を描くのを好む人なので当たり前なのですが、いわゆる無鉄砲な若者がなにも考えずにロボットに乗って敵なしな活躍をするような話ではありません。これも分からずに視聴すると人間の描写がくどく感じてしまい退屈になると思います。
先にも書きましたがMSの描きかたが非常にリアルです。ビームが当たって爆発する。というただそれだけのシーンでも、ビームが飛び散って周囲に被害が出る。爆発の破片がより危険な凶器になる。MSが殴りあいをするだけで火災になる。などなど、人間の視点から描いた戦闘はこれぞリアルロボットといった感じです。ただ、全体的に画面が暗いので分かりにくい箇所が散見していました。そこは残念です。
いろいろ書きましたが、ファンなら間違いなく楽しめる内容です。知らない人はせめて予習で逆襲のシャアを……と言いたいところですが、逆襲のシャア自体が初代ガンダム、Zガンダム、ZZガンダムと積み上げた上で成り立っている話ですので、過程を知らずに楽しく見られるかどうかは微妙な内容なので素直に言えないところが苦しい。

Ko Fu