「金子文子役の女性は日本人だと思ってたのに・・・日本語上手い!」金子文子と朴烈(パクヨル) kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
金子文子役の女性は日本人だと思ってたのに・・・日本語上手い!
こんな方法でいいのか?と、ずっと疑問に思っていた二人の行動。途中、朝鮮からの新聞記者が来日して、彼らの行動を批判めいた口調で懇願するシーンもあった。なぜならば、関東大震災において、民間人による朝鮮人虐殺の事実が薄らいでしまうからだった。それでも二人の信念は曲げられない。断固ととして皇太子暗殺を企てたとして死刑が確実である大逆罪を望んだのだ。
結果としては良かったのだろうか。たしかに現在では歴史修正主義者が跋扈していて、「日本人が虐殺するはずがない」などと、全てを否定しようとしている。某都知事などは朝鮮人犠牲者追悼式典の“追悼の辞”を拒否するくらいだ。歴史的に・・・というより、当時の新聞記事にも煽るデマ記事が書かれていることだし、人数は定かではないが実際にあったことだ。
映画に登場する残虐シーンでは、日本人の自警団が「15円50銭と言ってみろ」と幼い女の子に竹やりを突き刺そうと構える。女の子の発音が濁音を正しく言えなかったため竹やりで刺し殺すというものだった。主人公たちが作った不逞社(アナーキズムを信奉する少数団体)のメンバーたちは、自警団を恐れて警察へと逃げ込む事態となるほど。震災二日後には戒厳令をしかれ、ラジオ放送、新聞などで朝鮮人が井戸に毒を入れたり、爆弾を持ってるなどと政府主導でデマを垂れ流されたら、自分だって信じてしまったんじゃないかと自信がない。
金子文子にしろ、朴烈にしろ、鉄のハートというか、初志貫徹できる精神力がとても強い。二人の以心伝心ぶりは手紙のやりとり前からも息が合っていたし、そうした思想によって強く繋がってるからなんだと感じた。日本人の弁護士布施も後に大韓民国建国勲章を受けるなど、無罪を主張し続けた司法の逸材。取調官の立松にしても、徐々に彼らの気持ちがわかってくるなど、色んな心が伝わってくる映画でした。
また、冒頭の人力車のシーン、心臓を鷲掴みにされるほど強烈に感じてしまいました(職業柄)。