劇場公開日 2019年2月16日

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「浮かび上がる「史実」をどう見るか」金子文子と朴烈(パクヨル) トコマトマトさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0浮かび上がる「史実」をどう見るか

2019年3月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

難しい

この映画が全国展開されるのかどうかは知らないが、平日昼間の渋谷イメージフォーラムは結構な入りだった。
多くが、高齢者。赤旗か東京新聞の愛読者か、みたいな高齢の左っぽいおじいさん、おばあさんが半分以上という印象。

平成30年の間に、すっかり日本人からは「反天皇」「版権力」といった心性は消えてしまったように感じる。

日本攻撃で大騒ぎする韓国。その国会議長は「昭和天皇の息子である今の天皇が謝罪すればよい」と発言したことに対しても、リベラルな人でも眉をひそめてみるほうが多いくらいではないか。

大正から昭和にかけて、日本が朝鮮半島と中国でやったことの事実は事実として、日本人は今一度理解し直してもいいんじゃないか。

さて、本作。
金子文子の存在は知っていたし、当時の空気を日本を舞台に、どの程度韓国映画が描くのか、と注目した。
「事件」を伝える新聞が、舞台が東京なのに、「大阪朝日新聞」はまだしも、どこか別の地方紙だったり、警官がサーベルでなく、日本刀をつけていたり、とハテナ? と思えるような場面があった。
まあ、そうした細かい時代考証の真偽はともかく、主人公男女の生き方、行動をストレートに伝え、基本知識のない日本人にも理解できる映画になっていた、と思う。

韓国に興味もなく、ただ毛嫌いする人たちは永遠に見ることもない作品だろうが。

町谷東光