クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅のレビュー・感想・評価
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序盤でサイババの成功物語かと思った
お洒落な家具に憧れていた少年アジャ。窃盗やイリュージョン大道芸を繰り返し大人になるが、パリへと旅立とうとする直前にシングルマザーの母が亡くなる。パリにいるかもしれない父親を探すという目的も追加するも、家具店で出会ったマリーに一目惚れ。明日エッフェル塔で会おうなどとデートの約束をするんだけど、タンスの中で寝てしまったら運送屋にそのままロンドンまで運ばれてしまう・・・そこから奇想天外な旅物語が始まった。
難民問題や警察の横暴さをさらりと描き、入管収容所の現実も見せてくれた前半の展開。そこからはファンタジックな物語になるのですが、ちょっと詰め込みすぎとも思える冒険談。それでもインド映画らしくミュージカルシーンもあるし、爽やかな風が吹いてくるかのような清涼感も感じられる。
『(500)日のサマー』にも出てきたIKEA繋がりで見始めたのですが、共通点は家具よりもむしろ『卒業』の方だった!という驚きがありました。だけど、2度も婚約者から逃げ出したのなら3度目もあるかもよ・・・
上手く生きてけよ!
物語の手法が、信頼できない語り手だったので、罪を犯した貧しい子供達へ夢と教訓を与える寓話の様に感じました。鑑賞していると、現実なのか非現実なのかが分からなくなる描写があるので、敢えて寓話的に撮影したのかと感じました。
楽しいけど教訓はなに?
奇想天外。まさに。
パリからイギリス、スペイン(の空港)、ローマ、気球で地中海、リビア、インドへ戻る旅をしたアジャ。
旅が終わった後に、かつての自分の分身と言える少年院に入るかもしれない少年たちに語り聞かせる物語の体をとります。
不法移民の現状とか、入国管理関係の各国の逃げ腰な対応が、あぁそうなんかもなぁと思いました。
ネットでしかニュースは最近見ないけど、日本の入館管理局?省?での非人道的な対応が漏れ聞こえてきてるし(つか対応何にもせずに閉じ込めるって事かな)、先の見えない問題だなぁと。
でもアジャにとっては、自分の問題ではなく巻き込まれて見聞きした事です。
彼の旅から得たものが、どのように貧しさに喘ぐ子どもらに還元されていくか、その辺がぼやーっとしてて、後味がない仕上がりかと。
学校きて勉強しなさいってことなんだったら旅関係ないやん。
だいたい教師になれるならば、おかしな手品師になってないで最初から教師になるだろうよ。旅を終えてから勉強して教師になったんなら、そこを書けよと思ったです。
とまぁ文句ばかり書きましたが、見てる最中は楽しかったんですよ。かなり。
でも、ラストが気に入らなくてこのように文句を連ねることになりました。
物語たるもの教訓がなきゃなんて思ってないけど、最初から子どもらを啓蒙する体をとってるんやから、そこの説得力はいるやろよと思ったんです。
なので、子どもらに語る体でなければもっと満足したでしょう。
かわいいインド映画!
タイトルやイメージ写真から期待する通りの内容なので、細かいところで突っ込みたくなる部分もありますが外面・内面とても一致している映画だと思います。主人公が試行錯誤しながらも、うっかり事件に巻き込まれながら気さくなマイメンたちのおかげでうまくいきましたとさ、みたいな感じであまり深く考えないで観ると楽しめる映画ですね。IKEAの泊まり込みとか、初対面でいきなりの大恋愛へ、みたいな展開は意地悪な気分で観てしまうととことん突っ込んでしまいそうですが、そう思わせないキャッチーさがある映画だと思いました。インド映画、不思議ですね…
重要な部分とは
歌と躍りのシーンはとても楽しい。特に警察署のシーンはノリが良く、ここだけでも観た甲斐が有った。
こう云うことを書くのは野暮かもしれないが、主人公が空気を吸うように犯罪を犯すのがどうしても、耐えられなかった。
旅行資金を盗む、偽造紙幣を使う、無賃乗車、密入国、脱走、気球を盗む、偽造パスポートを買う、等々。
イケアに忍び込んでクローゼットに泊まるのはストーリ的に仕方ないとしても、その他は目を覆いたくなる。
彼の身に降りかかる禍福は全て犯罪行為から引き起こされるからだ。
更に言えば、それらについて裁かれた描写も感じ取れない。
そんなヤツが、教師として子供達を導くのか?と思ってしまう。
だから、つまり、彼がラストで応えた様に本当の部分とは…。
タンスと一人の男
邦題からてっきりクローゼットに入ったまま世界中を旅する話かと思ったら、そのくだりは最初だけだった。
これはなかなかの珍品だが、悪くはない。コメディかと思いきや、インドの貧困やヨーロッパの難民問題などについて結構シビアな言及もあったりする。おおむねインド映画のノリだが、監督はカナダ人らしい。ただ、イタリアのクラブで唐突にインド歌謡が流れたりするのは無理があるな。あと、どの国に行っても英語で通じてしまうのも謎だ。
全体としては「パイの物語」同様、“騙り”の構造を持っていて、どこまで真実なのかはあいまいなままだ(あの女の子とはどうなったんだろう)。
結局この映画はシャツに書かれた物語を映画化したということなのだろうか…。
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