「諸行無常でも果敢に挑んで」映画 少年たち KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
諸行無常でも果敢に挑んで
パフォーマンスショー&アクトなエンタメ劇を映画に起こした作品。
ジャニーズのミュージカルとして楽しさはあるけど、色々と割り切って考えても映画として良いとは思えなかった。
多すぎる登場人物のキャラが弱く、それぞれきちんと描くには圧倒的な尺不足がネックとなりストーリーは破綻気味。
もう少しメインを絞って掘り下げてくれたら、ゆるっとした脱獄計画の理由も固くなり納得感が生まれるのでは。
というか脱獄する前に丁寧に手紙を書けばいいのに、なんて元も子もないことをつい考えてしまう。
ジュンの純朴さは可愛いしダイケンは優しいしタツヤ面白いしヒロトの天真爛漫の裏の切なさも良いのに。
情報屋の情報屋たる部分もきちんと見たかった。
罪を犯した背景を急ぎ足で説明されてもそんなに感情移入できない。
赤房vs青房のいがみ合いもなんだかしょうもない。
しかしジョーとコウタは体格が良いので二人が向き合った際の迫力はかっこよかった。
鬼看守こと中林がヒールとして全く役に立っていなかった。
姑の嫁イビリ的な嫌がらせをしていたけどジョー達に全然効いてなくて笑てしまう。
「アイツが来てから地獄だ」って言っても刑務所であんなしょっちゅうボカスカ喧嘩してるような問題児たち、厳しく律する以外ないじゃない。
なんて自己中な囚人たちなんだ…。
突然の伊武雅刀にめちゃくちゃ驚いた。
一人だけ抜群の演技力である。
これから少年たちの良き父代わりとして見守ってくれたり中林との絡みが出てくるかな、と思いきやまさかのワンシーンのみ。
嘘でしょ伊武雅刀をもっと活用しようよ使い捨てなんてもったいなさすぎるよ…。
これじゃあ伊武雅刀使う意味がないじゃない。
ついでに美咲と貴子の熱い出会いももっと展開させてほしかった。
面白くなりそうなポイントのポイ捨てが目立つ。
安いMVのようなミュージカルシーンの浮き具合が半端じゃなかったけど、もはや逆に楽みになってくる。
ワンカット(ワンカット風?)8分のオープニング、各グループのオリジナル曲を組み込んだ見ごたえのあるパフォーマンスは良いとして、パワーポイントのプレゼンみたいなダサすぎる文字の演出に苦笑。
シリアスなシーンから急に爽やかなリゾート風の歌唱が始まってびっくり。
あの調子で真面目に物語進まれても地獄だったし、ちょいダサなミュージカルシーンがあることでなんとかテンションを持続できたので良かったと思う。
ノートの中身には結構胸にグッと響いた。
一般的には良いところとは到底思えないけれど、居場所が無かった少年たちにとってはかけがえのない場所なのかなと。
まあそういうこともあるのかも。
人との出会いで天国にも地獄にも変わるものだな。
過ぎた時は戻らず過去の罪は消えない。
自分と他人にどう向き合いどう挑みどう乗り越えるか。反省と成長。
やりたいテーマはなんとなく分かるけどクオリティはそこそこ高く保って作らないとしっかり伝わらないと思う。
出演者に興味が無いとだいぶ辛い映画にしてしまっても衰退の一方なのでは。
トップの自己満もほどほどに。
突っ込みだしたらキリが無い作品。
ただこちらも別に面白い映画を観るスタンスではないので、まあ良いかと思える。失礼。
現在のジャニーズJr.情勢と重ねながら観ると面白かった。
黒房から青房に移されてしまった人がいたり、激推しされてるハーフキッズの存在感だったり、ラストのジャニーズらしい煌びやかなパフォーマンスに先輩の昔の衣装が採用されていたり。
出演者たちが全力で挑んでいたのも伝わってくる。
元の舞台を観たことがないのでそちらも体験したくなった。
実際にロケ地の旧奈良監獄がホテルとして2021年にオープン予定とのこと。
2017年まで少年刑務所として使用されていたとのことでこれまた驚きだった。
流石に凶悪な犯罪者が入っていた刑務所なんかだと念が強そうで嫌な気もするが、あくまで少年犯罪の枠だから良いのかな。
ちょっと泊まってみたい。