「怪獣映画としては大傑作だけど、小栗旬のためにもロングバージョンの公開をお願いしたい一作。」ゴジラvsコング yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
怪獣映画としては大傑作だけど、小栗旬のためにもロングバージョンの公開をお願いしたい一作。
まさに全編、大迫力の怪獣プロレスで、間違いなく大スクリーンで味わうべき作品に仕上がっています。
怪獣達のバトルに力を注ぐあまり、人間ドラマが完全に吹き飛んでしまっていて、一番その割を食ったのが、本作が本格的なハリウッド進出になるはずだった小栗旬です。今後「あの表情」で語られる俳優になるかも知れないことを考えると、ほんと気の毒でしょうがない…。削除した人間ドラマパートを含めた「完全版」の公開をぜひお願いしたいです。
逆光の構図を活かした(というか逆光使いすぎ…)昼景バトルの迫力は素晴らしく、本シリーズ一作目からの技術的な進化に驚かされます。その結果実現したのが、空母の上での巨大モンスターのどつき合い。こんな妄想じみた闘いを、膨大な予算と最新の技術を投入して実現してしまう力技ぶりはいっそ清々しいです。
香港のネオン輝くビル群で背びれを輝かせるゴジラの構図は非常にかっこいいけど、ゴジラの炎の、核兵器の象徴という要素は消え去ってしまい、もはや波動砲の域に達した超絶兵器になってしまいました…。都市の景観を含めた様々な照明のギミックが、最近再び流行しているサイバーパンク風というよりも、明らかにゲーミングPC的な方向性だったことには笑ってしまいました。
表題とは逆に、本作の主役は明らかに、人類とも意思疎通が可能なコングの方で、彼の故郷への旅路を描く物語ともなっています。少女とコングの会話の方法など、ディテールをきちんと現代的にアップデートしている点は非常に好印象でした。ただその内のいくつかのアイデアは、タッチの差で別の作品がやっちゃってるので、後追い感が出てしまった部分も…。
ピーター・ジャクソン版コングを含めた過去作のオマージュも膨大で、一回観ただけでは全部は追い切れないほどの詰め込み過多ぶり。この点でも歴戦の怪獣映画ファンを楽しませてくれるかと。