「イラク戦争を止められなかった無念の記者たち」記者たち 衝撃と畏怖の真実 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
イラク戦争を止められなかった無念の記者たち
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今ではイラクの大量破壊兵器問題は戦争の口実に使われたということは衆知の事実ですしNYタイムズの誤報や謝罪も知るところです。この問題は「グリーンゾーン」や「バイス」などでも描かれていましたね。したがって事の次第や顛末をご存知の方にはサスペンス感はありませんし、成功談でもありませんのでカタルシスを得られる種類の映画ではありません。
地方紙向けの通信社ナイト・リッダーが唯一疑念を報じたということは本作で知りました。
今更ながら怖いのは群集心理なのかも知れません、こともあろうにアメリカの中心部での9.11テロを許してしまった政権の面子丸つぶれ、アメリカを舐めるとどうなるか、開戦賛成派にバイデン上院議員の名が出たのもショックでしたが当時の世論は報復ありきに傾いていたのでしょう。
イラク攻撃の絵を描いたのは軍需、石油利権絡みのラムズフェルドとチェイニーの両人なのでしょう、開戦の口実など何とでもなる、巡航ミサイルと空爆ですぐに決着と甘く見て開戦したもののナイト・リッダーの指摘通り宗派間の内戦の勃発で混乱に拍車を掛けてしまったのも史実の通りでした。
NYタイムズやワシントン・ポストなどが異を唱えていれば、あるいは事態は変わっていたかもしれませんが一通信社では世論転換にはあまりにも非力だったことは否めません。
それでも警鐘を鳴らした記者たちが存在したことの事実をロブ・ライナー監督は後世に残したかったのでしょう、トランプ政権下のメディア操作、軽視の現状を見るにつけ、一矢報いる謂わばハリウッドの良心のような力作でした。
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