「恐怖の無い狂気」惡の華 aMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)
恐怖の無い狂気
原作などまったく未読です。
シュールですね。こういう狂気の空間をたゆたう作品、悪く無いですね。ともすると映像がグロかったり、原色バリバリの極彩色空間に振られたりしますが、そうした映像は無しで、日常の空間に役者陣の演技で狂気の彩りが構成されてるのは、なかなか素晴らしいです。玉城ティナの蔑みの目、伊藤健太郎のおどおどした感じ、秋田汐梨の暗い笑顔など、若い役者さんが頑張っていました。
思春期って、恐れおののきながら狂気にひたる時間ですね。怖いけど、怖いもの知らず。時折爆発したくなる時間をなんとかやり過ごして、閉塞感とうまく付き合い、自分を確立していく時間。そこにほんの少しの触媒があるだけで、狂気は爆発してしまう。本作ではそれが仲村さんで、狂気の依り代として、春日くんをおかしくしてしまう。
確かに、なんかよくわからないけど、「向う側」があると思ってた記憶がある。厨二病とはよく言ったものだ。
テーマの割に、それほど重くはならず、かといって軽薄でも無く、うまい塩梅で仕上がっている。他ではなかなか見れない物語だと思う。
そういえば、日本語だと「狂」の字でほぼ片付いてしまうけど、英語だと”insane”,”madness”,”crazy”,”lunatic”など、狂うにしてもいろいろありますね。狂うことについての豊かな表現が、英語がまさるのはなんでたろう。
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