劇場公開日 2019年1月18日

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「タイトル通り底の浅さが透けて見えます」ミスター・ガラス よねさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0タイトル通り底の浅さが透けて見えます

2019年1月23日
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鑑賞方法:映画館

 フィラデルフィアの精神病院で厳重に隔離された3人の男達。触れるだけで悪事を完治する不死身の男デイヴィッド、人知を超えた身体能力を秘めた多重人格者ケヴィン、そして類い稀な知能を持ちながらガラスのように脆い肉体を持つイライジャ。精神科医のステイプルは彼らの能力についてある仮説に基づく研究を進めるが・・・。

 シャマラン監督お得意のどんでん返しは確かに意外といえば意外ですが、個人的にはスベっていたと思います。『アンブレイカブル』は実はヒーローものでした、『スプリット』は実はモンスターものでしたという話でその続きとなると2人の対決を期待するし、それは序盤から延々匂わせるし実際戦いはするんですがどこにもカタルシスがなくて物足りないです。

 結局彼ら3人の共通点は幼少期のトラウマでしたという話も新味がないし、何度も何度もコスられるフィラデルフィアに建設中の超高層ビル“大阪タワー”、そのネーミングがもうダメなのは大目に見たとしてもそもそも重要でも何でもない。普通に終わるわけがないと覚悟して鑑賞していましたが、ここまでスカスカだとさすがに困惑しました。思えば『アンブレイカブル』はMCU夜明け前の作品、その後バラエティに富んだヒーローものやヴィジランテものが作られていてそれらとは全く異なるテイストをいやでも期待してしまうわけで、ついこないだブルース・ウィリスは『狼よさらば』のリメイク『デス・ウィッシュ』でクラシックなヴィジランテ、ポール・カージーを演じたばかり、今回のブルース・ウィリスがほぼ同じ演技というのは何を演じてもジョン・マクレーンにしかならない力量は贔屓目に見たとしても余りにも芸がなさすぎるし、終始生気のないサミュエル・L・ジャクソンもまあそういう演出なのでしょうが手を抜いているようにしか見えませんでした。

 それでもギリギリスクリーンにポップコーンを投げつけずに済んだのはジェームス・マカヴォイの演技があったから。『スプリット』でも巧みに複数の人格を演じ分けてはいましたが、本作ではそれが芸術的に研ぎ澄まされていて圧巻でした。とはいってもそんな名人芸は確固たる演出があって映えるもの。そこはシャマラン監督の不器用さが裏目に出てしまったのかキャラがぽっかり浮いてしまった印象。

 結局どんでん返しを引っぺがすと抑揚のないのっぺりした話で、3作それぞれのサブキャラに華を持たせることも出来ず、どんでん返しという一発ギャグに頼ってしまった残念な仕上がり、自ら詰め込んだお約束に足を掬われてしまったのが悔やまれます。そんなお約束が何にもない『ヴィジット』が爽快だったので、こんな連作ではなく地味で低予算な作品を以降沢山撮ってくれればいいと思います。

よね
よねさんのコメント
2019年2月4日

身に余るコメント、恐縮です。

よね
さっくんさんのコメント
2019年2月4日

言いたいことが全て代弁されていて感動しました。

さっくん