牧師といのちの崖のレビュー・感想・評価
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監督の壮絶な闘いを体験せよ
上映後の監督からのコメントで知った。
執事していたサトウマコト監督が突然自死し、それでも自分はやはりドキュメンタリーを撮ろうと、自死を題材に探し求めてたどり着いたのが、自死しかけた人を救い続けているこの牧師。牧師に「みんな生きたいんだ」と聞き、そして完成した映画の、中心的な位置に描いた青年が、映画撮影の3年後に自死してしまう。
それでも監督はドキュメンタリーを撮り続けるだろう。その闘いのひとつを、みなさんも観ましょう。
映画はとてもよくできていると感じた。ドキュメンタリーは、淡々としがちと思うが、引き込まれるエピソードを上手に紡ぎ、テロップ前の最後のシーンにはそこはかとなく希望を感じさせる。
本当に上手な作りだと思う。それだけにこの思いもよらぬ結末は、それこそ「神よ、あなたはいないのか」という気にさえなる。
ちなみに自分は「宗教は苦しい時のみに必要だ」と思っており、あまり宗教好きではありません。
面白かった
私は森さんの自己中心的で甘ったれなところに自分を重ねてこの映画を見た。彼がここに至るまでに成長することが出来なかったのが不幸だと思った。そうはいかなかった理由があったのか。最後の彼の顛末は衝撃的だった。そこまで追い詰められていたように見えなかったから。
牧師さんの人間臭いところ、言葉を探しながら話すところには好感を持った。彼の言い方が酷いというレビューがあるが、私はそうは思わなかった。人間は万能ではないし現場は綺麗事ではない。彼のやっていることで救われている人がいるという事実をどう考えるのか。彼の足りないところを持っていてフォローする奥さんにも好感を持った。
なぜ牧師になったのか、自殺志願者を受け入れることになったのかは語られないが、知りたかった。私はせっかちなので冗長に感じる部分もあった。森さんの背景についても描き足りない気はした。しかし監督が死にたいという思いではなく生きたいという思いを撮ったという言葉には頷けた。
隣人とは?観なければならない作品。
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