「賛否両論あるようですが。。。」牧師といのちの崖 bomb1978さんの映画レビュー(感想・評価)
賛否両論あるようですが。。。
私はこの作品を否定的には見られません。
牧師さんへの批判もあるようですが、私が一番感じたのは、牧師さんが一番苦しんでいることでした。
教会で説教をする牧師としての役割だけでなく、父親、母親としての役割も果たさなくてはならず、優しいことだけ言っているだけではダメで、時に厳しいことも言わないと伝わらないのだと思います。そこにも葛藤があって、牧師さんも試行錯誤しながらの毎日なんだと感じました。
願わくば、この作品を通じて、行政などもその支援にセラピスト、心理カウンセラーのような方を派遣するなどして、教会の方の負荷が減ると良いのにと思いました。
(既にやられていて、映画の中で描かれていないだけでしたらすみません。)
また、ここはあえてだと思いますが、自殺しようとする方というのは、うまく職場に適応できない場合、少なからずコミュニケーションの仕方や考え方に、独特の癖のようなものを持っているのだと推察されます。
(それが良いとか悪いとかいうことではなく。育った環境や遺伝的なもの、発達障害なども関係していると思います。)
それが本人の名誉のためか最小限しか描かれていません。それは観る側で補う必要があると思います。実際に、訓練を受けている方でも、下手をするとその対応でノイローゼになってしまうこともあると聞きます。
自分が牧師さんと同じ立場だったら、通常の教会運営と別に、自立支援のための事業まで運営するなど、あの少ない人数で面倒を見ることが出来るだろうか?と思うと、正直、相当キツイ、ツライと思います。
(牧師本人もそれによる自分のいたらなさを懺悔されていたシーンがありましたよね。奥さんにも自らの感情について相談しているシーンがありました。そういったことを教会で生活する方にも伝わるところでやるべきかどうかは議論があるところだとは思いますが)
この作品はそのような光も闇も照らす、ドキュメンタリーとしての価値があると私には感じます。可能ならば、前述の通り、行政やボランティアを通じて、今の負荷がうまく分散され、苦しむ方がもっと減るよう、この作品がきっかけになると良いなと思いました。
また私自信も、職場で「苦しみを生む側」にならぬよう、上司、先輩、後輩との関係についても見直すきっかけにしたいと思いました。誰も、そんな世の中、望まないと思いますので。