「意欲はわかるが、、、」牧師といのちの崖 officemabuyaさんの映画レビュー(感想・評価)
意欲はわかるが、、、
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何とも後味が悪かった。揺さぶられて、ザラつきを覚える、というのとは違う。もっと不快感に近いものだ。
牧師の自殺企図者への助けたいという熱い思い、情熱はわかる。弁当屋を自立支援事業所としてやるなど、知恵者でもあるようだ。
しかし企図者に対して、いや人生に迷い、戸惑っている時におかれた人へのアプローチの仕方が違うだろう。人の弱さを正論と説教で変えようとすることは、自分の価値の押し付けでしかないはず。これは、言われた方はツラい。
そして、宗教の教えのコトバに逃げ込み、牧師自身が自分の行為を正当化というか、コトバの曖昧さや甘さで誤魔化しているようにしか思えない。
このあたりは、撮影者、監督?の牧師への質問、問いかけのピントがずれているところとも影響があるのかもしれない。
何より撮影から三年経ったとはいえ、作品の中でずっと撮影していた1人の個人が自死したという事実。もし、自死を防ぐことをテーマにしているのであれば、彼にこの3年間、何が起きたのか、そこをきちんと取材し作品に盛り込んで欲しかった。これは牧師のこれからの生き方やこの活動のためにも必要だったのではないだろうか。
また、この作品を上映するにあたり亡くなった青年のご遺族や関係者の了解は取れているのだろうか。せめてクレジットで示して欲しかった。
牧師の地道な活動への敬意を基にしつつ、個人のいのち、そしてそのいのちと関わることの謙虚さとどんないのちでも尊重するという点の欠如に残念さを覚えてならない。
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