「讃歌」宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第七章「新星篇」 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
讃歌
すげえ話だった。
この7章だけを観た訳じゃなく、1話〜最終話まで観た感想だけど。
かなり哲学的な物言いではあるものの、その背景やら自分自身を投影できるとしっかり咀嚼もできる。
「愛」がテーマだった。
愛の呪縛って言葉を使ってだけど、凄いよくわかる。それに絡めとられて身動きできない様も…。だけど、それとは真逆で愛をきっかけに産まれる力や行動力なども。
こんなに小難しい話だったのかと、これを産み出した松本零士先生や、この作品の脚本家たちを尊敬してしまう。
これを俺は中学生の頃に観てるんだな。
「さらば宇宙戦艦ヤマト」って映画のタイトルだった。
もう細かな事は覚えてないけど、名作だったって記憶がある。本作になりいくつかの改変はあるのだろうけど…この大きすぎるテーマの前には些細な事だと思える。
ラストにあたる26話は蛇足のようにも感じるのだけれど、アレでないと語れない事もあるのだろうと思う。
大義を背負って引鉄を引き続けた男を、その矛盾から解放してやるには必要だったのだろう。血塗れの手で切り拓いた未来に価値があるのかと問われれば「わからない」と答えるしかない。ただ少なくとも彼が矢面に立つ事で自分の手が血に塗れなかった人たちはいたはずだ。
彼は彼の幸せを諦めようとするのだけど、そこもやはり「愛」によって引き戻される。
自分が守った今を引き継ぐ未来の命の存在によって。
愛がもたらす「破壊」と「救済」を描いた話だったように思う。
それに加えて地球の事にも触れていて…「星はそこにあるだけで、そこに意味を持たせるのは人間だけなのだ」と。
環境破壊とかの話にも繋がるのかな。
夜空に瞬く天体の話ではない。この「地球」っていう惑星の話だ。
とかく戦争って形で物語は進むのだけれど、葛藤のような個人の話に置き換えた方が理解しやすいように思う。
この作品をユニセフとかで取り上げてくれないだろうか?
戦争とかが無くなる事はないのだろうけど、隣人に対する理解は深まるような気がする。
SF的な面での真田さんの万能さには呆れる程なのだけれど、次元断層とか高次元生命体だとか…あまりとらわれる事なく観れるのならラッキーなのだと思える。
作画もいいし、CGもいい仕事してる!
たかがアニメされどアニメ。
たかが漫画されど漫画。
媒体がそれなだけで地球規模もしくは全人類的な規模に発信された崇高なメッセージだ。
やはり名作だと思える。
松本零士先生に俺的ノーベル平和賞を捧げたい。
中学生の頃に聴いた沢田研二さんのエンディング曲は「なんだこのしみったれた歌は」と思ったのだけど、今聴くと、とても、とても深い曲だった…俺も歳をとったのかなぁと感じはしたが、阿久悠さんとかやっぱ偉大な人だったんだなぁと、妙なとこを再認識。