「伝説を超えるのは容易ではない」宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第七章「新星篇」 Kimioさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0伝説を超えるのは容易ではない

2019年3月4日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

難しい

僕が中学生の頃に「さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち」の映画を観て、何故感動して号泣したのか、今、劇場公開されている「宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち」を観て分かった。要は作り手に覚悟と潔さがあるかどうか、である。「さらば」にはスタッフ全員がヤマトの物語に自分たちの手で終止符を打つ!という覚悟と責任を背負って制作に取り組んだことが、明確に観客に伝わったから、その潔さに観客は感動したのだと思う。特攻を美化するつもりは無いが、作品として潔いのだ。だからこの映画は伝説になった。一方で「2202」は制作側が自分たちがヤマトを終わらせる、という覚悟を持てなかったようだ。たぶん色々なオトナの事情があり、忖度が働いたのだろう。潔さが全く感じられない。だから特段に感動もしない。例えば、人気絶頂の時期に解散したキャンディーズ、引退した山口百恵、いずれも二度と再結成したり、復帰したりしなかった。この潔さが彼女たちを伝説にした。「さらば」も同じ。「さらば」をリメイクするということは、それだけの覚悟と潔さが必要だった筈だが、制作側の無意識の?忖度が仇になったのか、結果的には「ヤマト2」のように続編に道を残すような結末になり、前作を超えることの出来ない平凡な作品になってしまった。新鋭艦アンドロメダの活躍はカッコ良かったし、ガトランティスに存在意義を定義づけた点は面白いと思ったので駄作とは言わないけど、現代に作られた作品としては凡作。終わり良ければ全て良し、という言葉があるが、2202は中途半端な『良いとこ取り』で決着させてしまった点でその逆。もしも『さらば』に縛られずにオリジナルストーリーのエンディングで潔く完結したならば、旧作とともに両雄並び立ったかもしれない。この映画には沢田研二の『ヤマトより愛をこめて』を使ってはいけない。この歌は特攻で散った戦士たちとヤマトへの鎮魂歌である。コアなヤマトファンとしては多少の期待はしていただけに残念ではあるが、改めて「さらば」が如何に伝説的で奇跡的な作品であるかを再認識した次第である。伝説的な作品のリメイクに挑むのは容易ではない。ヤマト2199で監督を務めた出渕裕さんが、さらばのリメイク「2202」に参加しなかった理由が分かる気がする。色々書いたけど、この時代にリメイクして新作ヤマトを作ってくれたことへの感謝は忘れていない。

Kimio