「若い世代の人には・・・」宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第七章「新星篇」 Hiroto Yanoさんの映画レビュー(感想・評価)
若い世代の人には・・・
「さらば宇宙戦艦ヤマト」のリメークとしてはよくできていました。「さらば」に出てこない、本作の「オリジナル・キャラクター」が「さらば」の物語の弱点を補強しています。
本作でズォーダーの主張する交戦事由は以下のとおり。ガトランティスの出自は人工生命体だから、中途半端な愛を尊んで自ら危機を招いている地球人を大いなる愛で救済する資格があり、それを実行する、でした。古代進はその正当性を論破します。結果、ズォーダーは「かわいそうな人」認定に。
芹沢も、新選組の近藤勇のエピソードを援用し、古代進以下ヤマトクルーを幕末の薩長になぞらえて描くことで「いい人」認定に。
古代進が「滅びの方舟」を始末したのも、「縁」の力で高次元の存在、テレサを呼び寄せ、彼女?の超能力によって、でしたが、それは印度哲学で、ヘレニズム神学を説き伏せたような賢人ぶり。
そんなヒーロー、古代進のキャラ設定は、なぜか「失う」たびに病的な目つきになる「ふつうの人」になっています。本作では主要キャラクターがちゃんとカップルを作っていて、森雪とのカップルはその中に埋没しがち。ターゲットになる観客の年齢層を考えてもそうなってしまうか、と思いますが、若い世代の人には感情移入しにくいでしょう。
それに対しヒロイン森雪は、まず作画が素晴らしい。「2199」含めても一番の出来だと思います。キャラ設定は、古代進の人格、思想を誰よりも理解し、古代進の危機には、救済すべく果敢に行動し、古代進の苦悩には、真摯かつ慈愛をもって寄り添う、そしてそのキャラは学習によって形成されたのでなく、nativeな23歳、という随分と男性目線のバイアスがかかっています。しかし「ふつうの人」古代進との対比では「アリ」と思います。
結局、第26話は蛇足=古代進に感情移入できない人と、第26話は必要=古代進に感情移入できる人で評価が分かれると思います。